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[間奏] ちっちゃい。 Ⅳ
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「おにいちゃんを、たすけてくれる?」
ぎゅ、って手を握り締めたきくくんが言ったことが、すぐには理解できなかった。
助ける?
京を?
何から?
沢山の疑問がぐるぐる回って……きくくん、随分必死だな、なんてぼんやり思った。
「どういうこと?」
隣に来た野々宮先生が、聞いてくれる。
「あのね、母様おにいちゃんにいじわるなの。でも、きくはおにいちゃんにおうちにいてほしいの」
「祈紅様。初対面の方々にお強請りはいけませんな」
じいやさんがきくくんを宥めようとする。
でも、さっきまですっごい素直に言うこと聞いてたきくくんが、いやっ、て首を振った。
「しゅうおにいちゃん」
「うん」
「おにいちゃんたいへんなの、だからね、たすけてくれる?」
不安そうにおっきな目を揺らめかせて、俺を見上げてくる。
…………どうしよう。
ほんとは、京のとこに行きたい。
けど、また拒まれたら?
そしたら、俺はどうしたらいいんだろ。
怖い。
「んじゃ俺行く」
きくくんを俺の腕から抱き上げて、琉已くんが呟いた。
「ちっちゃいの」
「ん……」
「ちゃんと、篠束と話せよ」
「はい!」
……うん。
こんなちっちゃい子でも、一緒にいたいって頑張ってる。
なら。
「俺も行くよ。きくくん、頑張ろーね!」
「がんばるの!」
「うん!」
それで、京にちゃんと、一緒にいたいって言うんだ。
「っつーわけで」
「京救出大作戦っ!」
「おー! なの!」
とりあえず、皆いれば何とかなるから。
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