アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
気晴らし
-
行く宛も無く、暁は家の近くにある公園にたどり着いた。
公園には何人か子供達がいて、各々で遊んでいた。
暁はベンチに座ってうつむいた。
土の上で世話しなく動いているアリ達をじっと見ていた。
「…はぁ」
軽く溜め息をつき、空を仰ぐ。
端から見れば妙な動作だが、暁はそんなことは気にしなかった。
「…学校、行きたくないな」
ポツリと今思っていることを呟く。
こんなことが続いてしまうのなら、いっそ辞めてしまいたいと思っていた。
学校に行けば山上達に卒業まで苛められ、西城に至っては親切かと思いきや「いじめ」をされる始末。
葉月と二人で静かに暮らせばこんな思いをしなくて済むのだ。
しかし、心のどこかでは罪悪感を感じ、言い出せないでいる。
そんな葛藤が更に自分を苦しめているようで、暁は考えるのを止めた。
「…帰ろう」
大した気晴らしにもならず、暁は家に戻ることにした。
「………?」
ふと、どこからか視線を感じ、辺りを見回した。
だが、公園で子供達が遊んでいるだけで他に人はいなかった。
「気のせい、かな…」
首を傾げて暁は家に向かった。
公園のすぐ側にある電柱に「不審者注意」の張り紙が貼ってあった。
「ただいまー…暁?」
夕方、用事を終えた葉月が家に帰ると暁の姿は無かった。
代わりに、机の上に置き手紙があった。
「散歩に行ってくる…か。まぁ、あんなことがあったんだし、気分転換も大事だよね」
置き手紙を戻し、葉月は夕飯の支度に取りかかった。
ベッドの上に暁の携帯が置いてあることに葉月は気がつかなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 18