アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
☆風邪のご飯
-
蓮の手を優しく握りしめていると、5分もしないうちに後ろからスースーと小さな寝息が聞こえてきた。
ゆっくりと後ろを向いてみると、俺の腰に顔をうずめたまま泣きつかれたというような顔をして蓮が眠っていた。
よく見ると、目元が少し赤くなってる…。
痛々しい蓮の弱ってる姿を見ると、罪悪感からか胸がズキンと痛んだ…。
「ごめんね…。」
と、何に対しての謝罪かは分からないがポツリと小さな声で呟いた。
それから蓮が寝たので、そーっと蓮の手を俺の腰からほどき、立ち上がる。
そろりと蓮を見ると、ちゃんと眠っていた。
良かった…。今度は起こさなかった…。ホッとして、それから蓮の ご飯を作るのにキッチンへ向かった。
--------------------
今は…12時30分ってところか…。
ちょうどお昼時かぁ…。うーん…。蓮に うどんを作ろうと思ってたけど…。うどんは茹で上がったら すぐ食べないとのびちゃうよな…。
ついさっき寝たところだから、すぐ起こすのも かわいそうだし…。でも、今 暑いし、お粥よりも冷たいうどんとかの方が良いよなぁ…。
うーん…。よし!じゃあ、うどんの前に今日の晩御飯の分つくっておくか!
風邪ひいてるから何も作れないだろうし!
何にしよっかなぁ〜、風邪ひいてるから消化いいものがいいけど、お昼うどんにするのに夜もうどんってのはなぁ〜…。
あっ!そうだ!『アレ』にしよう!アレなら食欲なくても食べれるかもしれない!
そう思った俺は急いで取り掛かった。
うーんと…。確かどーやって作るんだったかなぁ…。
必要なのは卵と…。と、必死に作り方を思い出す。
そして卵を割り、ボールでカシャカシャとかき混ぜる。
子供の頃、風邪ひいたら よく母さんが作ってくれたなぁ〜…。
そんなことを懐かしみながら、俺は蓮が元気になるようにと力を込めながら作った。
--------------------
「…ん!蓮! …きて!」
「…っん〜……?」
一通り終わったので蓮に声をかけると、とても眠そうに目を擦りながら返事をした。
「俺、もう帰るからね。ご飯は冷蔵庫の中に入ってるから、ちゃんと食べるんだよ?
…お大事にね…。」
「……いで………帰らないで……。」
掠れたような弱々しい声で蓮は答えた。
その声に、胸が苦しくなった…けど、ここで流されてちゃだめだ…。
「…蓮は、強い……。だから、大丈夫…。」
自分でも言ってることは、とてもめちゃくちゃで、こんなに弱ってる蓮に「強いから」なんて無責任だ…。
でも、俺は蓮に嫌われる覚悟がなきゃ、ダメなんだって今日で気づけた気がする。
蓮は、少し寝ぼけているのか目がとろーん…としていた。
蓮が風邪をひいていて良かった。
もっと必死に帰らないでと言われたら、帰れなかったかもしれない…。
「……じゃあね、蓮…バイバイ………。」
最後に蓮に優しく言うと、蓮は何も言わず眠そうで悲しそうな顔で俺に手を伸ばしてきた。
その手を俺はぎゅっと握手のようにして握ると、すぐさま手を離し蓮のアパートを出た。
大丈夫、大丈夫…。アパートの階段を降りる時、俺は心の中で何度も呟いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
125 / 129