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☆和也の怒り
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和也は俺を引き寄せると周りをギロッと睨んだ。
その顔は今までの和也からは想像できないくらい怖い顔をしていて俺までゾクっとしてしまう。
周りも和也の顔に恐れたのか怯えた顔をしていた
…………和也……まるでヤ○ザだよ…。
和也の横顔を見ながら思った。
和也が さっきの購買のおばちゃんに向かって ゆっくりと口を開く。
「あの~……明がなにかしたんですか?」
俺を指さしながら和也は、おばちゃんに問いかける。
俺は黙って和也と おばちゃんのやりとりを眺めていた。
すると おばちゃんは一歩もひるまず
「この子がパンを盗もうとしたのよ。
だから引き止めただけ。」
フンッと得意気にして言った。
おばちゃんが発言をしたからか周りで黙っていた人も『そうだ。そうだ。あいつが悪いんだ。』なんて口をそろえて言い始めた。
ザワザワと騒がしくなる購買。
まただ………また皆して……
そう思っていると
「うるせぇ!!!!!!!」
と和也が いきなり大声を出した。一気に購買が しーん……となる。
和也は続けた。
「今は購買の おばちゃんと喋ってんだ。外野が口出してんじゃねぇよ…」
和也の低い声に それまでギャーギャー言ってた周りも、まるで子犬のように怯えてピタッと止む。
和也が…俺のために怒ってくれた……。
周りが静かになったことを確認した和也が またおばちゃんに問いかける。
「明が、パンを持っていくところを見たんですか?パン抱えたまま購買から離れたんですか?」
和也が言うと さっきまで威勢のよかったおばちゃんが急に口ごもり始めた。
「そっ、そうじゃなくても…財布もってないのにパン抱えてたら おかしいじゃない…!」
それを聞き和也が、ふーん……とした顔をする。
「明は、俺の分のパンをとっといてくれただけですよ。これから払うとこでしたし……」
和也が そういうと おばちゃんは、また得意気に話始めた。
「そんなの私が知るはずないじゃない!!
それとも何?私が生徒の1人1人の状況を確認しなきゃいけないの?
冗談じゃないわ!!」
すると和也もニヤリとして話し出す。
「そうですね。そんなのあなたが知るはずがない……
でも、こんなに騒ぎ立てること無かったんじゃないですか?
しかもあんな大声で。そんな言われたら明だって何も話せないじゃないですか。
もう少し優しく言ってあげても良かったでしょう。」
おばちゃんは急にスラスラと言う和也の発言に戸惑っていた。
「なっなによ!!私が悪いって!?
元はといえば、紛らわしい その子がいけないんじゃない!!!」
それでもひるまず、おばちゃんはビシッと俺を指さした。
「おっ俺は盗もうなんて思ってません…!」
俺もこのままじゃいけないと思って大きな声で否定した。
すると和也は俺を見てニコッと笑い
「確かに……秋の行動は紛らわしたかったかもしれません……
でもー……。」
バンっと購買のテーブルを強く叩いてギロッと睨む。
おばちゃんはすっかり怯えてしまっていた。
…………ヤ○ザだ……。俺は和也を見て再度 思った。
そんなおばちゃんに構わず和也は続ける。
「見ただけで決めつけて、一方的に攻めるのはどうかと思いますよ…?
………大人が聞いて呆れますね。」
さっき おばちゃんが俺に言ったことを和也が言ってくれた……。
もう おばちゃんは何も言えなくなっていた。
「それじゃ、これパン代です。」
そう言うとニコッと笑ってパンの金額を おばちゃんの手に渡す。
「明、いくぞ。」
そう言って おばちゃんにクルッと背を向け、そのまま俺の手を引いてズンズンと歩き出した。
購買がドンドン遠ざかっていく。
その時の和也の背中がいつもより大きく感じて……
みんなが疑ってる中、和也だけは俺を信じていてくれたことが嬉しくて……
俺は泣きそうになった………。
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