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☆嫌な場所④
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俺たちは そのまま10分くらい抱き合っていた。
その間、俺はぐすぐすと泣いていて、和也はずっと俺の頭を優しくなでていた。
………なんだか、恥ずかしいな…。
高校生にもなって大泣きして……。しかも友達に慰めてもらうなんて…
でも、今は誰とも離れたくない……離れたくないよ……。
「……明…。」
俺が泣き止む頃、和也が俺からそっと離れようとした。
「やっやだぁ!!!」
いやだ!!今は…離さないで!!そんな思いで叫んだ俺は、とっさに和也にしがみつく。すがりつく。
ぎゅぅっ……と背中に手を回す。今…誰かの温もりを手離したら俺はバラバラと完全に壊れそうで怖かった。
「…………。」
「…………。」
沈黙が辛い……、変に…思ったかな……。和也の顔をそっと見るとバチっと目が合った。
目が合うと和也は恥ずかしそうに「えーっと…」と言いながら頭をガシガシとかいて、いつものにっとした笑顔になった。
「じゃあ~……飯食おうぜ!飯!」
ニコニコしながら元気よく俺に声をかけた和也。
ひしひしと伝わる優しさに、また泣きそうになる……。
鼻の奥がつーんとなって泣きそうになるのをグッと堪えて和也に問いかけた
「……なぁ……和也……」
「ん?明どうした?」
頭に?を浮かべている和也の顔をしっかりと見る。
「きっ………聞か…ないの……?
俺が…なんで…泣いてたのとか……」
ボソボソとした声で聞くと、和也は いきなり俺の髪の毛をワシャワシャと撫で始めた。
………やっぱりムツゴロウさんだ……
そう思っていると、
「誰にでも話したくないものの1つや2つある!
それを無理に聞こうとはしない。……だから、明は 話したくなったら話せば良い……!」
と答えて、またワシャワシャに撫でる。
強引に撫でられたから頭が揺さぶられ、和也の顔が見えなくなった。
でも…その方が助かる。……和也に泣いてる顔が見えないから……
いや、もしかしたら和也は俺が泣いているのを分かっていたのかもしれないな……
それから和也は俺をひょいっと持ち上げて向き合うようにして膝に座らせた。
すると和也は「軽っ!ちゃんと飯食ってんのか!?」なんて呑気に言ってた。
俺がビックリして声も出せずにいると和也は俺の背中を子供をあやすように、とんとんと優しく叩いた。
それが なんだか、すごく安心して……和也の胸に顔を押し当てながら声をあげて泣いてしまった。
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俺が泣き終わると和也が俺を膝に座らせたままメロンパンを半分にして、半分を俺にくれた。
あ……そう言えば和也は お腹すいてたんだよな……
なのに俺……自分勝手に泣きわめいて和也に甘えて……自分の事しか考えてない…俺は…ダメな奴だ……
そんなことを考えていると、ずびしっと頭にチョップされた。
「いてっ!和也なにすんだよ~…」
ズキズキとする頭を押さえながら和也を恨めしそうに見ると
「余計なことは考えるな!俺は頼ってもらって嬉しかったぞ。」
と言ってメロンパンにかぶりついた。
………驚いた…。
考えてることを当てられて…。
ぼーっとしてると、「とりあえず食え!」と和也が言うから「いただきます。」と言ってメロンパンをパクっと食べた。
口の中に甘い味が広がる……「美味しい…。」と俺がポロっと口に出すと和也は嬉しそうな顔をしながら「そうかそうか。」と何度も頷いていた。
……和也になら、話してもいいかな……
まだある恐怖を誰かに話せば心が軽くなるかも……
そう思い、俺は和也に ここであったことを全て話した。言うのはとても怖かった。拒絶されるかもしれない。気持ちがられるかもしれない……
そんな恐怖も襲ってきて話始めると涙がじわじわ滲む。
少し体がカタカタと震える。
話そうと思ってもうまく話せない……
そんな俺に和也は「ゆっくりで、ゆっくりで良いから……」と言ってくれた。
俺はそれが嬉しくて和也が言ってくれた通り、ゆっくりゆっくりと話した。
すべて話終えると、和也は涙を流して俺をぎゅぅっと抱きしめた。
その涙がとても綺麗で、俺のために流してくれたんだと思うと純粋に嬉しかった…
そして何より、和也は俺を気持ち悪がったりしなかった……
気づいたらカタカタと震えていた体の震えが止まっていて…
俺の心は軽くなった。
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