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☆崩れてく④
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トントントントンとアパートの階段を上がっていく。
蓮……大丈夫かな……
蓮に会いたい。蓮に会ったら、ぎゅーと抱きしめて話し合って……
お互いの気持ちを言ったら…蓮と…蓮と…したい……。
こんなこと思っちゃう俺って変かなぁ……?
走っているのもあって顔が、かぁぁっと熱くなる。
でも、今の俺なら素直に言える気がする。
そんなことを考えているとアパートの部屋の前まで来た。
スーハースーハーと深呼吸をして鍵をガチャっと開けて中に入る………
「ただい…………」
『ただいま』と言おうとしたら、ある物が見えて声が途切れた。
目に飛び込んできたのは、玄関にある高いヒールの靴。
ピンク色の可愛らしいヒール……。俺が履くことはないであろう……そんな靴。
どくんどくんと胸が騒ぐ。
嫌な……嫌な予感がする………
玄関でローファーを脱いで中に入る。
頭の中は真っ白だった。でも、そんな思考回路でも「蓮に限って、そんなことはない。」「お姉さんや妹さんかもしれない。」なんて考えたりもした。
………女兄妹なんていないのに……。
でも、俺は そう信じていたかったんだ。
おぼつかない足取りでリビングへ向かう。
…………あぁ……。もう……。
そこにいたのは……蓮と…蓮とキスしてる女の人。
誰だか知らないフワフワとした茶髪の女の人。
2人は、ちゅっちゅとキスをするのに夢中だ。
見たくないのに、目がその光景から離れられない。
体が動かない。
蓮が髪を触ってる。体を抱きしめている。キスをしている。
…………蓮が笑ってる……。
2人は俺に気がつかないようで、女の人が蓮の首に手を回して自分からキスをせがんでいた。
やめて……やめてやめてやめてやめて!!!
やめてよ!!!!蓮に触らないで!!!触れないで!!!!
そう思っていても声が出ない。パクパクと口を開けているだけで声なんかまるで出ない。
すると、一瞬 蓮と目が合ったような気がした。
……………でも、蓮は すぐに ふいっと目をそらした。
まるで俺なんか視界に入ってないみたいだった……。
俺はそれが辛くて、見ていられなくて……
そこで、やっと体が動いた俺はバタバタとアパートを出ていった。
リビングから「やだぁ。見られちゃったぁ~」なんて甘ったるい女の人の嬉しそうな声が聞こえた。
バタンッ……とアパートのドアを閉める音が耳に響く。
行かなきゃ………でも、どこへ……?
でも行かなきゃ………今は…このアパートから遠く……遠く離れなきゃいけない……
空っぽの頭の中に『遠くに…遠くに…』なんて言葉がリピートする。
気づけば俺の足は………
あの殺風景な公園の方へ向かっていた……。
夏休みまで、あと2日………
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