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☆冷たい
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もしかして……蓮…いないのかな……?
でもアパートの鍵開いてたし…どこかに出かけているはずないんだろうけど……。
そろそろと足を進めながらキョロキョロと周りを見回す。
リビングまで来ると、蓮がソファーにうつむいて座っていた。
蓮がいたことに少し嬉しさを感じた。
「れっ、蓮…!た、ただいま……」と声をかけたが……
「…………。」
うつむいて黙ったままの蓮。
…………え…?返事が…返ってこない……。
シーンと静けさがますリビング。
「蓮……?」
「…………。」
もう一度 俺が呼びかけても返事してくれない。蓮…無視してるの……?
思わず蓮に駆け寄る。蓮はうつむいたままだった。
蓮の顔を覗き込んで声をかける。
「………蓮……?」
すると、やっと蓮が俺を見た………が、俺を見るその目は今まで見たことがないくらい冷たい目だった。
その冷たい目が俺の胸を締め付ける。
………な、んで……?蓮…どうして……?
「蓮っ……」
なんだか怖くなって蓮の腕をつかもうとしたが……
パシッと手を はらわれてしまった。
ど、して………
はらわれた手がヒリヒリと痛む。
でも、はらわれた手よりも胸が痛かった。ズキズキと痛んで苦しい。
胸をえぐりとられたみたいだった。
ポロポロと涙が落ちる……頬を伝って床に滴り落ちた。
「………どうしたの?どうして……?
なんで……?れ…ん…」
びっくりするくらいの乾いた声だった。
「………。」
それでも黙り込む蓮。1度 俺に向けられた視線は、また床に戻されてしまった。
蓮からは甘ったるい香水の匂いがして頭が痛くなる。
「蓮……蓮………蓮蓮蓮蓮蓮蓮……」
また腕を掴もうとして手を伸ばした。
蓮がパシッと俺の手を はらおうとしたけど気にせず腕を掴む。
グイグイと蓮が無言で俺の手を離そうとするけど、俺は がっちりと蓮の腕を掴んで離さなかった。
少しすると蓮も諦めたのか、動きを止めた。
いつまでも口を開かない蓮。
チクタクと時計の音が響く。
声をかけなきゃいけないけど、蓮に無視されるのがイヤで……
俺も無言で蓮の腕をぎゅうっ……と掴む。
10分くらいたった頃……
「なぁ……どう思った……」
この沈黙の中、先に口を開いたのは蓮だった。
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