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☆酷いのは俺だった
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「明……明には………明の心には……
違う奴がいるね……?」
蓮の言葉が頭に響く。蓮を見れなくなってしまう。
「ちがっ……違う……れんっ…蓮しかっ…蓮しかいないぃ……」
ボロボロと涙が止まらない。
明後日には夏休み。蓮と楽しく過ごして、思い出をたくさん作るはずだった。
でも、その理想は音を立てて崩れていく。
ドミノのようにパタパタと崩れていく。
でも、それを壊していったのは俺だった。
蓮と離れたくない。離れたくないよ……
「蓮っ、この話……やめよう……?
俺、やだ……やだぁぁぁ……!!」
蓮の腕に頭を押し付ける。ふわっと香る蓮の匂い。
蓮は俺の頭を ずっと撫でてくれていた。
「明……俺の目、見て…?」
いやいやと首を振った。無理だよ、見れない。
俺 今絶対、変な顔してる。蓮に合わせる顔なんてないんだよ……
「明……お願い。」
その言い方、声にハッとした。
その声や言い方は俺が犯されて、蓮が助けに来てくれて……
ドアを開けようとした蓮に俺が嫌だって言ったら蓮がすがるように『お願い』って言ってた。
その声に似ていて……俺は顔をあげて、しっかりと蓮の目を見た。
蓮の目は、あの時と変わらないくらいに綺麗で、やっぱり見とれてしまう……。
ぶわっと涙が ふき出す。
蓮は、そんな俺にふっと笑って指で涙をふいてくれた。
そして蓮はポツリポツリと話し出した。
「明……俺、ずっと不安だった……。
明が俺を好きでいてくれたのは分かってた。
でも、明がどんどん離れていきそうな気がして。
明の気持ちを確かめたくて浮気ばっかりしてた……
ほんとに……ごめん……」
俺は首を横に振った。そんなの…そんなの……
蓮は優しく笑っていた。
「明は…優しいな……。
それで俺…、空き教室で和也と明が抱き合ってるの見たんだ。」
っえ……?あれを……蓮が見たの……?
嘘……俺っ……
戸惑いを隠せない俺に、蓮は続けた。
「それを見たとき、俺も空き教室に入って明を奪えばよかったんだ。
………でも、出来なかった。
嬉しそうに愛おしそうに和也を見つめる明を見たとき分かったんだ……
『あぁ、明は恋をしたんだ』って。
そう分かったら途端に怖くなって、明を避けた。
明に触れて拒絶されたらどうしようって。
話し合って向き合ったら明は、この答えを出してしまう。
この答えにたどり着いてしまう……
でも日に日に、明の瞳には俺じゃないやつが写っているのが辛くて……
誰かにすがりたくて、今日 明に具合悪いって嘘ついて浮気した。
でも、虚しいだけだった……」
蓮の気持ちを聞いて今までのどんな痛みよりも痛かった。苦しくなった。
俺も薄々 気づいてた……。
目を閉じた時に浮かんだのは、蓮の笑顔と………和也の顔だった。
優しく見つめる和也に胸が高なかったのも……
その笑顔をまっすぐ見つめられなかったのも………
俺の気持ちが揺らいで………
少し和也に傾いていたからなんだ…………。
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