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☆持っていて…?
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驚いて思わず目を見開いた。
握り締められていたペアリングと蓮の顔を交互に見る。
「蓮…っ、これ……」
俺が尋ねると蓮は静かに答えた。
「……持っていて…」
「っえ……、でもっ……」
俺が戸惑いを隠せずにいると蓮はフッと笑って言った。
「普通にドラマや映画だったら……どっちかが処分とかするんだろうけど……
俺……出来そうにないし……
…誰かにプレゼントした物を自分で捨てるってのも……、辛いし…さ…
後で捨ててもいいから…持って行って…もらえないか……」
「う、ん……」
俺はペアリングを見つめたまま頷いた。
すると、またグイッと腕を引っ張られて今度は正面から抱きしめられた。
ぎゅっと力が込められる。体が麻痺したみたいに動かなくて、体温がジワジワと感じる。
部屋の温度は暑いはずなのに……不思議と暑くなかった……
蓮は、すりっと俺に擦り寄り耳に「元気でな……」と掠れた声が聞こえた。
「うんっ……うんっ……」
俺が返事をすると蓮は俺から勢いよく離れて「もう、しないからさ……」と笑った。
少し寂しい…だなんて、言えない…思ってはいけない…
「蓮も…元気でね………」
ガチャッとドアを開ける。外はカラカラに晴れていた。
眩しくて目を薄めて外を見る。外からは車の音、信号の音、話し声……色んな音が鮮明に聞こえた。
ペアリングを力強く握り締めてドアを閉める時に気になってチラっと蓮の顔を見ると―――……
無表情で静かに涙を流していた………
見なければ………良かった………
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