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弟の恋② 杏奈side
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明はポロポロポロポロと涙を流していて止まらない。
突然のことに私は訳がわからなくてオロオロするしかなかった。
でも、落ち着くまで そっとしておこうと何も言わずに ただ明の涙をタオルで拭いていた。
明も何も言わずに私に拭かれている。でも涙は止まらず、後から後から流れていく。
明はポロポロと静かに泣いていたが、何かを思い出したのか、今度は急に うわぁぁんと子供のように泣き出してしまった。
鼻や目を真っ赤にして泣くその姿は小さい頃の明のようだった。
「えぇ!!??なんだもー、明は酔うと泣き上戸なのかぁ~…
あー、もー、よしよしー。」
そう言って私はとにかく明をなだめてた。
落ち着くように。スッキリするように… ずっと背中をさすって頭を撫でていた。
すると、ピタッと涙が止まり ぐすん…と鼻をすすった明が ゆっくりと口を開いた。
「……めんなさい…」
「え…?」
「れ、ん……ごめんなさぃ…」
え……?今…なんて…?思わず撫でていた手がピタッと止まった。
「れん ごめんなさい」…?誰に対して謝ってるのかしら……
「れん」って名前的に男友達かな~…?いや、彼女の「れんちゃん」?
「えーと…明……ちょっと大丈夫ー…?」
明はもう完全に酔っ払ってるようで、私の言葉は明の耳に届いてないみたいだった。
「お、れが…ぜんぶ悪いんらぁ~
れん以外の人を…好きになりかけたりするから…悪いんらぁ~!」
そう叫んだ明は、またうわぁぁぁんと泣き出してしまった。
………え。待って…れん以外の人を好きになりかけた……?じゃあ、「れん」は恋人で間違いないの…かな…?
私は全然 話がついていけない……。頭ん中ぐるぐるで泣いている明をポカンと眺めていた。
私が困惑している最中にも明は
「ごめんねー蓮ー、和也ー…ごめんねええ~~俺が、ハッキリしないからなんらぁぁ」と、わんわん泣いている。
和也に……蓮…?え…2人とも お、とこ…なのかな…?
てことは…明は男の人が好き……?
確かに男の人が男の人を好きになるって話は聞いたことがあるし、実際 外国では結婚している人も沢山テレビで見たことがある。
偏見があるわけじゃないし、色んな恋の形があるんだろうな~…とは思っていた。
でも……まさか自分の弟がなんて…考えたことがなかった…。
明を見ると、ひっく…ひっく…と嗚咽を漏らしながら泣いている。
……ちゃんと話を聞こうと思った。
こんなに すんなりと同居を了解したのも泣いている理由で何かあったからかもしれない。
今は家族である私の力が必要な時なのかもしれないと……。
「明………?」
優しく明を呼びかけると、ぴくっと反応して「蓮……」と呟いてこちらに顔を向けた。
酔っているせいか顔がぽやーんとしていて、私を「れん」と重ねているのかもしれない…。
「明…私は、蓮…くんじゃないよ…?私は姉ちゃん。杏奈だよ…?」
「姉ちゃん……。」
私が「蓮くん」と言って何の否定もなく答えた明を見て、やっぱり明の言っている「蓮」は男の人なんだということがわかった。
明はまだ涙が止まらないらしく、大きな目に大粒の涙を浮かべてボロボロと零れていく。
「明……何があったのか…私に話せる…?」
明は目をパチクリとさせて、少し黙り込んだあと、黙ったまま こくりと頷いて今までのあったことをポツリポツリと ゆっくり話始めた。
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