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★もういない。
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目を覚ます。隣には誰もいない。昨日はあまり眠れなかった。
チラッと時計を見る。もう1時過ぎか………
明が出て行って初めて迎える朝…
今までだったら明が起こしてくれていた。
「早く起きてー!洗濯しちゃうから~」なんて言って嬉しそうに笑っていた。
起きたら用意されていた朝ごはん…立ち込める良い香り。そして明の温もり。
それもない。
この空っぽになったアパートには明はいない。
いや、明がいないからこのアパートは空っぽなんだ。
「明………戻ってきて………くれよ…」
鼻の奥がつんとして涙がじわじわと浮かんでくる。
今頃どうしているんだろう。和也とうまくいったのかな……
俺は応援すべきなのか………
なんだか分からなくなってしまった。
食欲もわかず、ベットから起き上がってお湯を沸かす。
お湯を沸かしてコーヒーを飲む。……熱い……。明の甘い卵焼きが食べたい…。
何となく冷蔵庫を開けると、少しだが明の作った料理が残っていた。
その中には、俺の好きな甘い卵焼きもあった……。
俺はその卵焼きを口の中に頬張ってゆっくりと噛み締めた。
程よい甘さの卵焼き。もう既に懐かしくて……愛おしくて……
目から涙が溢れた。
「明っ………!!!!」
苦しくなって明のだった部屋を勢いよく開ける。
少しふわん…と明の匂いがしたが、すぐに消えて、何にもない部屋を見ると本当に明はもういないことを痛感した。
ふと床を見ると忘れていったのか、明のパーカーが落ちていた。
それを拾い上げ、抱きしめると明の匂いと暖かさを感じて、また涙が出た。
あとからどんどんと流れ行って止まらない……。
「好きだ………」
俺の告白に応えてくれる声はこのアパートには残っていないんだ。
でも、このままこのアパートに閉じこもっているのもいけないと思い、俺は外に出かけることにした。
あ、そういえば今日は雨が降るから傘を持っていくか……。
拾い上げた明のパーカーを丁寧にたたみ、残っている卵焼きを冷蔵庫に閉まって俺はアパートをあとにした。
この後、俺は出掛けることを後悔することになる……。
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