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☆好きになりたい
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「好き………」
ポツリと呟いた一言が俺の頭の中で響く。こだまする……。
和也の目を見つめて…しっかりと伝える。
ザーッ……と雨が降っている。雨が頭に落ちてきて首、お腹、太もも、足先に伝っていく。
そして、服を濡らしていく。
俺の告白に和也は目を思いっきり見開いてポカンとした顔をしている。
しばらくの間2人とも無言で……静かな時間が続いた。
いや、俺には今 周りの声が聞こえていなかった。
車の音、人の歩く音、信号の音、そして雨の音………。
全てが聞こえなくて何だか不思議な感覚だった。
そして先に口を開いたのは和也だった。
「ぇっ……と、あ、わかってるよ…!
その飲み物のおまけのキャラクターが好きなんだろー?
まったくー、そんな真剣な顔するからビビったじゃねーかーww」
和也はカラカラといつものように笑っていた。
………伝わっていなかった。でも、伝わっていなかったなら伝わるまで言えばいいだけ。
俺は深呼吸をして和也を見なおした。
目をすぅ……見つめると和也がギクッとしたように焦っていた。
「……違うよ和也……。俺は和也が好きなんだ……。」
「えっ………」
「正直、まだ蓮が忘れられない。蓮を思い出すことだって今日 何回かあった……。」
俺のその言葉に和也がピクリと反応した。
「でもっ……和也を見ていると幸せな気持ちになるのもっ……ほ、んとうなんだ……!」
あれ……?おかしいな。ちゃんと伝えるはずなのに……涙が止まらないよ……。
でも今は雨が俺の涙を隠してくれている気がした。
「だから俺、進みたい……!蓮を忘れようとするんじゃなくて思い出にしていきたい。
それで……和也とは違うこれからの思い出をつくっていきたい……っ…!」
ずずっと鼻水をすする。涙があとからボロボロと流れて嗚咽が出る。
「ひっく……おそいっ…て、わかってる……!
でも、和也、俺じゃっ……ダメかなぁ……?」
ちゃんと……言えた……。和也を見て唇を噛み締める。
和也は黙ったまま下を向いている。
……やっぱり、遅かったかな……。
そう思っていると凄い力で腕を引っ張られた。
そのまま ぽすんと和也によりかかり強い力で ぎゅぅっと抱きしめられる…
「か、ずや………?」
雨で冷えた体が和也の体温でじわじわと暖かくなっていく。
……俺は腕を和也の背中にそっと回して控えめにきゅっと抱きしめ返した。
すると、和也は少し体を離して俺の顔を見ると幸せそうな顔をして うっすらと涙を浮かべていた。
そして、また俺を抱きしめる。和也の腕の中がとても心地よかった…。
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