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☆今日から恋人
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和也は無言で俺をギュッと抱きしめたまま離さなかった。
その和也腕は少し震えていて………気づくと声を押し殺して泣いていた。
とくんとくん…と暖かい和也の心臓の音が聞こえる。
俺は和也を強く抱きしめ返し、背中をリズムよくポンポン…と叩いていた。
時々 耳元できこえてくる「明……明……」と俺を切なそうに呼ぶその声がとても愛おしくて……
和也と一緒にいたい。この腕を離してはいけないと強く思った。
ここは人通りが多いため、色んな人が俺たちをジロジロと見ながら通っていった。
中にはヒューヒューと冷やかしながらゲラゲラと笑う人もいた。
でも………俺たちは完全に二人だけの世界に入っていて周りなんか気にしてなかった。
ただ、もっとお互いの存在を確かめていたかった。
10分くらい抱き合ってたかな……それくらいすると和也がそっと俺から体を離した。
2人は顔を真っ赤にしていて、和也は泣いていたから目が少し赤くなっていた。
俺がふふっ…と笑うと、和也もつられて微笑んでいた。
あぁ………なんて幸せな時間…なんて幸せな気持ちなんだろう……。
なんだか体がフワフワしていて足が少し浮いてるみたいだった。
そこで雨が降っていて、俺たちがビショビショなことにハッと気づいた。
………なんだか夢中で……びしょ濡れのことなんか すっかり忘れてた。
なんか、ちょっと寒いかも………。
さっきまで抱き合っていたから少しは暖かかっけど、離れていると急に雨の冷たさを思い知らされる。
「……っはっぷし…!!」
そんな事を考えていると俺は寒くてくしゃみをしてしまった。
へ、変なくしゃみ出た………。はずかし……。
「くくっ………明 寒いのか?」
そろーっと横を見れば和也が肩を震わせて笑いながら聞いてきた。
………そんな笑わなくてもいーじゃんか。そう思いながら こくんと頷き、ほっぺを膨らますと和也は微笑んで俺の手を繋いだ。
「か、かずっ……!」
「どっか雨宿り出来るとこ行こうぜ!ここじゃ風邪ひいちまうからな!」
和也はニヒっとした顔で笑うと俺の手を引いて雨宿りできそうな所に急いだ。
すると、ちょうど良く シャッターが閉まっている本屋が近くにあり、そこには屋根がついている。
俺たちはそこで雨宿りしながら雨が止むのを少し待つことにした。
手は繋いだままで………。手を離すことも出来たが、なんだかまだ離したくはなくて……。
どちらかともなく、指を絡ませてキュッと握り返した。
あったかいなぁ……二人で顔を見合わせ照れた顔で笑うと、いきなり和也が顔をこわばらせた。
………?どうしたんだろう……?
そう思って和也が見ている方向に振り返ると………
よく見覚えのある人影が傘をさして立っていた。
それは俺のよく知っている人で……。
どくんと心臓が高鳴り冷や汗をかいた。……まさか、今日会うなんて……。
そこに立っていた人物は………
「…明…………」
「…れ、ん…………」
蓮だった――――……。
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