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☆久しぶり
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「おじゃま…しまーす………」
アパートに入った俺は靴を玄関で脱ぎ、傘を玄関に立てかけて そろりそろりと廊下を歩いた。
別に玄関に傘を置くだけしてアパートから出てくればいい話なんだけど……
さっきお姉さんが言ってた「蓮が倒れてずっと寝てる」ってのが気になって……
なんだか蓮を一目みたくなった。
きゅっと拳を握り足音を立てずに静かに歩いてリビングに向かう。
…………うわぁ………。リビングを見て俺は目を見開いた。
久しぶりに見たリビングの床には食べ終わったお弁当のゴミや着て散らかした服やらが落ちていて……うん。汚くなってる……
カーテンすらも開いてなくてなんだか部屋自体がもやんとしている気がして不潔に見える。
あのお姉さんもちょっと片付けくらいやってくれればいいのに……なんて、俺が言うことじゃないか…。
リビングにいないってことは、蓮は蓮の部屋にいるのかな…?
チラッと蓮の部屋のドアを見るとドアは閉められていて、当然 俺からは蓮の部屋は見えない。
でも、リビングやキッチンにもいないんだから普通に考えて蓮の部屋にしかいないよね………。
どうしよう………入っても大丈夫かな…?でも、風邪ひいてたりしたら大変だし………
和也とのこと話したほうがいいかもしれないし……。
俺は決心をして、ゆっくりゆっくりと蓮の部屋に近づいていく。
ゴクリと息を呑み、コンコンとドアをノックした。…………が、反応がない。
もう一度ノックしたが、やっぱり何の音も聞こえない……。
「あ、開けるよー……?」
ガチャッとドアノブを回してキー…っとドアを開けて中を覗いた。
中はカーテンが閉められていて真っ暗でリビング程ではないけど服が脱ぎ散らかされて、ここもお世辞にも綺麗とは言えなかった。
でも、なぜかここの部屋にも蓮の姿は見えなかった。
あれ…………?ここにいないなんて……でもお姉さんは寝てるって言ってたし………。中に入ってキョロキョロと周りを見てもやっぱりいない…。
あと見てないのは……………「俺のだった」部屋だけだった。
もしかしてと、急いで俺のだった部屋を見ると少しだけドアが開いていた。
…え、嘘……ほんとに……?どくんどくんと胸が音を立てる。
開いていたドアに手をかけて部屋にはいる。
中は家具など俺が出ていったままにしてあり、ここだけはカーテンが開いてあり光が部屋に差し込んでいた。
そして、よく見るとベッドの上で布団をかぶって静かに寝息を立てて上下に動いている蓮が見えた。
そろそろと蓮に近づくと額に汗をかいて寝苦しそうにしていた。
思わず立ち尽くしたまま すー…っと蓮の額に手をつけて髪をかきあげた。
懐かしい綺麗なサラサラの金髪が指をすり抜けていった。それが何だか心地よくて…何度も何度も蓮の髪の毛をなでる。
撫でていると、「ん………。」と蓮が起きそうになったから急いでパッと蓮の髪から手を引っ込めた。
立ち尽くして寝ている蓮を見ていると何故かすごく切なくなってしまって じわりと涙が立ちこめてきた……。
「っ…………。」
声を押し殺して、その場にしゃがみこんだ俺は少しだけ泣いた。
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