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☆看病①
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「っ………ふ、ぅ………」
ひとしきり泣いた俺は ぐいぐいっと涙を服の袖でふき、すぅー…はぁー…と深呼吸して息を整えた。
蓮が起きなくて良かった…。いきなり元恋人が目の前で泣かれても困るし、迷惑なだけだもん……
よし………でも、とりあえず気分は落ち着いたな…涙も出ないし…。
それから目の前で はぁはぁと荒い寝息を立てて寝ている蓮を じぃっ…と見つめる。
………よく見ると、やっぱり蓮は具合わるそう……。
じっとり汗をかいているのに布団を肩までしっかりかけていて丸まっているし、顔は赤く、呼吸も少し荒く見える。
きっと昨日 俺に傘を渡して濡れて帰ったりしたからだろうか……。
眉をひそめながら「うぅ……」とうめく蓮を見て罪悪感がわいて「ごめんね………」と蓮に呟いた。
…………よしっ…!!俺に責任があるんだから出来るだけ看病しなくちゃ…!!
部屋を出た俺は冷蔵庫をガチャッと開ける。中には前買っておいた熱さまシートが入っていた。
「よかったー!あとはー……氷まくらと…ご飯………。うどんとかの方が良いかなー…?」
ガサガサと冷蔵庫を確認してからパタンと閉めた。
ピリピリと熱さまシートの透明のシートを剥がして蓮がいる部屋に向かう。
蓮の前髪をサラ……とかきあげてピトッと熱さまシートをおでこに貼る。
「っ……!?」
急におでこに冷たいものが貼られたことにビックリしたのか蓮が顔をしかめた。
でも、俺は驚くことなく蓮の髪の毛を優しく…優しく……撫で続けた。
すると蓮は少しは穏やかな顔になり、またすーすー…と寝息を立てて寝始めた。
ふぅ……良かったぁ…目を覚まさないで………。
あ、あとは氷まくらを首の後ろに…っと!よし!氷まくらも出来たからうどん作ってこよう!!
また部屋から出ようとした俺にある言葉が耳に届いた。
「…ぁ…………き………」
…………え……?今、蓮…………俺の名前……?
思わずピタリと止まり蓮を見る俺…。
けど、蓮は寝ているらしく部屋はしーん…としている。
寝ぼけただけ、か………。
俺の名前を呼んだように聞こえたんだけどなぁ…。気のせいかな……?
俺は少しザワザワと騒ぐ心臓をおさえ、何事も無かったかのように部屋のドアをパタンと閉めた。
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「…………………まじかよ…」
もぞもぞと布団で動いていた蓮が布団の中でポツリと呟いた。
「なんで………明がアパートにいるんだよ…………」
誰に聞かせるわけでもない蓮の声は部屋の中でこだました。
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