アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
★何で。
-
俺は昨日見てしまった。
明と高原が二人でいたところ。笑いあっていたところ。手を繋いでいたところ。
幸せそうなところ…………。全部…。
俺は昨日、家にこもってばっかりじゃいけないと思って外に出た。
こんなクヨクヨしてばかりじゃ明に申し訳ないと思ったから…。
そして、何となくで駅に向かい、何となくでゲーセンのあたりをフラフラ歩いていた。
何度か逆ナンされたけど適当にあしらっていた。すると、パラパラとした雨から急に土砂降りになり俺は持っていた傘をさして歩いていた。
少し歩くと…2人の影が見えて……その人影は明と高原だった。
あぁ……この2人が結ばれることはなんとなく分かっていたけど…。俺にはまだ辛い。苦しいよ。
2人を見ていると、自分だけ取り残されて…世界で一人でいる気がした。
頬を赤く染めて微笑む明を見て胸がザワザワと騒ぐ。
明の幸せを思って俺は明と別れた。そう、俺は明の幸せを思って別れたつもりでいた。
それなのに……明が幸せそうなのを見て胸がぽっかり開いたみたいになってすきま風が吹いている感じになった…。
「なんで明の隣にいるのが俺じゃないんだ。」「なんで明を幸せにするのが違う誰かなんだ。」
そればっかりが頭の中を駆け巡って……。
高原の口が「明と付き合ってるんだ」って言おうとしていたことはわかったけど俺は聞きたくなんかなかったんだ……。
それから無意識にかけよって明を自分の方に引き寄せて高原を睨んだ。
でも高原はひるむことなく俺をにらみ返してきた。「俺の明を離せ」と目で訴えているようだった…
ふいに明を見ると、おどおどした表情で俺を見つめてきて俺の名前を呼んだ。
久しぶりに聞いた明の声は悲しくて…寂しくて……俺はうっかり泣きそうになった……。
そう思ったら自分が凄く惨めで、カッコ悪くて……
傘を明に渡して背を向けた。
すると、明が傘を返そうと追いかけてきた。
…やめてくれ…………これ以上……俺を惨めにさせないでくれよ……!!!!
俺はキツく明に叫ぶと、がむしゃらに雨の中 思い切り走った。
走って走って走って走って走って走って走って走って走って走って………
地面を蹴って、腕をふり、足を前に出す。
明との日々が頭の中に流れ出して、目頭が熱くなった。
くそっ……くそくそくそくそくそくそ……!!!!
明っ…………!!!
お前を……今すぐにでも、この腕で抱きしめたいよ…。
ぎゅうっ………と首からぶらさげていたペアリングを握りしめて歯を食いしばり…
泣きながら俺は走り続けた。
雨に濡れていた明は、やっぱり綺麗で儚げで………悲しくなった…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
108 / 129