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☆看病②
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蓮が寝ていた部屋から出てきた俺はキッチンにいた。
「んーー…と、まずは薬飲まなきゃいけないからご飯が先だな……」
そう呟きガチャッと冷蔵庫を開ける。さっき冷えピタ出す時チラッと見たけど……
………やっぱり…。食材全然ない……。
中には卵が2、3個とケチャップにマヨネーズ……魚肉ソーセージにコーヒー、それとちょっとしたツナ缶が転がってるだけだった。
これじゃ風邪も引くよなぁ……。床に散らばってるゴミもコンビ二のお弁当ばっかりだし…、
健康的な食生活は送れてないんだろうなぁ……全部、俺が悪いんだけどね…。
そう思いながら すくっと立ち俺はアパートを出てスーパーへ出かけた。
運よく携帯がズボンのポケットに入ってたから携帯のアプリでインストールしたナ○コカードにまだお金が残っていたはず……。
とりあえず、うどんとネギと……。夜ご飯の分の食材も買ったほうがいいよな…。
そんなことを考えながら歩いていると、今歩いている道が懐かしく感じた…。
あー…、俺 蓮と付き合ってた時はこの道を歩きながら買い物行ってたなぁ…なんて……。
ぶんぶんと頭をふり、すたすたと思いを振り切るように歩き出した。
俺の恋人は和也……大事な人は和也なんだから……。
ぐっと下唇を噛みしめながらスーパーへ向かった…。
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スーパーに着いた俺はさっそく食材をカゴに入れていく。
うどんとネギと……あ、卵も買うかな~。
さっき確認したらカードには結構お金に余裕があったから安心して買い物ができる。
あ。あと蓮の冷蔵庫に調味料もあんまり無かったから塩コショウとかソースとか生姜……っと。
プリンとかゼリーも買っていこう。ゼリーはぶどう味かな~…
どんどんとカゴに入れていると、カゴがずっしりと重くなってきた。
んー……よし、大体はこんなもん…かな!
大体のものは買えたから俺はレジに向かい お会計をしてもらう。
カゴに入れた商品がピッピッとリズムよく音を立てる。
あ…、このレジの人…俺が買う時いっつもレジになる人だ。なんだか縁でもあるのかな……??
いつもレジを打ってる人は優しそうで何とも可愛らしい60歳くらいのおばあさんだった。
なんだか微笑ましくて口元が緩むと、
「お久しぶりですねぇー…」
と、手を動かしながらおばあさんが俺に向かって口を開いた。
「へっ……?」
おばあさんの急な対応にビックリしてなんとも間抜けな声を出してしまった。
だが、おばあさんは そんな俺にお構いなしに にっこりと笑いながら続ける。
「最近、あなたを見かけなくなってしまったから……。ちょっと気になっちゃってしまって……、いきなり声をかけてごめんなさいね……?」
おばあさんが少し申し訳なさそうに笑って言った。
「い、いいえ全然!!それよりも……
お、俺が来てなかったとか覚えてるんですか…!?」
俺が少し興奮気味に言うと、おばあさんはキョトンとした顔をしてからクスッと笑った。
「はい…、とても綺麗な顔立ちなので……。それに毎日ってくらい来ていただいていたのにピタリと来なくなってしまったので少し心配していました…。
………合計で3500円になりますね。」
「あっ…!じゃあナ○コで………」
携帯をスキャンするとピロリンと音が鳴る。
「はい。いつもご利用ありがとうございます。
では、こちらレシートになります…。」
俺は会計を済ませて、「はい。」と渡されたレシートを受け取り、「それじゃあ……」とカゴを持ちながらぺこりと軽く会釈した。すると、
「またのお越しをお待ちしています。」
とおばあさんは優しい笑顔で言ってくれた。
またのお越し………か。
心配してくれたのは嬉しいけど……ごめんなさい……。
俺、もうこのスーパーに来ることもなくなるかもしれないんだ…。
そんな気持ちで俺はスーパーを後にした。
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