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★どうして
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雨の中、走って俺はアパートに帰った。びしょ濡れのままの俺を不思議そうに見てくるやつがいたけど、何とも思わなかった。
もう………どうでも良くなった。
ガチャガチャと鍵を開け、真っ暗なアパートに入ると虚しさが胸の中を駆け抜けた。
なんで………どうして俺だけ………。
それから俺は玄関にしゃがみこんで適当にスマホの連絡先を探し、適当に電話をかけた。
プルプル…と一定のリズムで聞こえる。
そいつは3コールくらいで電話に出た。
『もしもし蓮?久しぶり~♡電話うれしいわ♡
でーも!今は彼氏といたんだから空気読んでよねぇ!焦ったじゃない!』
言ってることとは裏腹にそいつの声は弾んでいた。変わってないカラカラと笑う声にそいつの姿が目に浮かぶ。
「わりぃな…。で、今お前どこだよ」
『んもぉ!お前じゃなくって、レイナって呼んでって言ったじゃないの~!♡』
「……レイナ…今どこ………」
そいつ事レイナは俺のセフレ。明と付き合ってた時によく体だけの関係で会ってたりしてた。
でも、お互いに恋人がいることは承知で……本当に体だけの関係。心なんかは通っていなかった。
『ふぅん…………あなた…今ちょっと弱ってるのねー。』
その言葉に少しピクリと体が反応する。……なんで分かったんだ。まさか、俺が見えてるんじゃ…いや、そんな訳ねぇよな…
「……………。」
図星なだけあって俺が何も言えないでいると、また電話の向こうからカラカラと楽しそうなレイナの笑い声が聞こえた。
『図星ってところね♡
だって、蓮の声あからさまに元気ないんだも~ん!
それに、蓮が私に電話する時って大抵なにかあった時だし♡
まぁ~…弱ってる時に呼んでくれるのは嬉しいけど!♡』
「……そんなんいいから………今どこにいるんだよ…」
なんだよ俺……すげーかっこわりぃ……。
レイナに当てられて恥ずかしくて悲しくて…つい強い口調で言ってしまった。
『あらあら~!蓮ったらこわぁい♡
んーと、ちなみに今は自分の部屋にいるけどぉ?』
「……今から俺のアパート来いよ……。」
『あっ、ほんとぉ?やったぁ~
蓮ならそう言うと思って彼氏 帰しといて正解だったわぁ!♡』
「いーのかよ…彼氏 帰しちまって…」
『蓮は特別だものー、じゃあ今から行くわね♡
じゃーあねぇ~~♡』
そう言うとレイナは電話を切った。ツー…ツー…と無機質な音が聞こえる。
はぁ………、何やってんだ俺……。
なんか頭もいてぇし…雨の中 傘もささずに帰ってきたからか何か寒ぃし…。
レイナが来るってことはセックスするって事だ。
心が満たされなくたって何だって良い。今は誰かの温もりに触れたかった。
それくらい今の俺は弱ってたんだと思う。
シャワーを浴びることすらめんどうで、俺はびしょ濡れのまま立ち上がり自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。
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