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☆涙
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声を押し殺して泣いている蓮を俺は見たことはあったけれど、こんなにも感情をあらわにして泣いている蓮は初めて見た。
ベッドに横になり、ぐずぐずと鼻をすすりながらボロボロと大粒の涙をこぼしていた。
そんな蓮を見たら俺は急に抱きしめたい衝動にかられた…。
でも、俺はそんなことしてはいけない。
その思いで蓮に伸ばしていた手を引っ込めた。引っ込めた行き場のない手が少し寂しそうに見えた。
……蓮は泣いてる顔を見られたくないんだろうか、顔を腕で隠しながら しゃくりあげていた。
小さな子供みたいだ。愛しくて、俺よりも体の大きい蓮が俺よりも小さく、とても小さく見えた。
いつの間にか蓮は俺の袖をキュッと握っていた。
「蓮…。」
離して…?と言うように声をかけると伝わったのか蓮がイヤイヤと横に首を振っていて、袖を握っていた手は、少し震えていた。
こんなに怯えている蓮を、俺はこれ以上突き放すことはできず…。
ベッドで横になっている蓮に背を向けてベッドに腰かけた。
すると、蓮は袖を掴んでいた手を離した。
それから蓮は横になったまま俺の腰に手を回し、腰に顔をうずめてギュッと抱きしめてきた。
「!?れっ…!」
離してくれと言わんばかりにベッドから降りようとしたが、蓮はそれを許さずに、むしろめいいっぱい強く抱きしめてきた。
そんな蓮に、俺は きゅぅん…と胸が締め付けられて涙が出そうになってしまった。
カタカタと震える蓮の手を 俺はまた振り払うことができず…。
蓮が落ち着くまでは…これは看病だから…と自分に言い聞かせて蓮の手を優しくそっと握りしめた。
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