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犠牲
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ふざけんなよ、の声と鳩尾に入るつま先。
「ッ、げほ、っ…アイツじゃなくていいだろ、月島に苛立ってんならそれは東京に呼んだ俺にも責任がある。
俺を殴るなり犯すなりすればいい。……っ」
ぐいっと髪の毛をつかまれる。
「まあ最初は苛立ってたよ?月島くんけっこう態度生意気だったしね。
だ、け、どー……あの子を犯したのは体目当て。
いやー可愛かったなー、クロオサン、クロオサンっつって。
ああ、悔しかったら、俺らの前でどんだけ乱れてたか教えてやろうか?」
涙が出そうになった。
それをこらえて、今にも切れそうな頭の中の1本を必死につないで頼み込む――いや、懇願する。
頼む、もうあいつに手ェ出さないでくれよ。
これ以上傷つけられた月島なんて見たくねぇんだよ、俺の大事なやつなんだ。
だから頼む、月島を返してくれ。
知らずに乱れていた息を、目の前のにやけ顔は真っ向から拒絶した。
「あーごめーん……もうお前の大事な月島クン呼んじゃったからさ♪」
リーダー格の男の手にはケータイと『送信完了』の文字。
「っ、てめッ」
叫ぼうとすると再び腹に足が埋まった。
「――ッ、っ…っ、」
声にならない声を上げて気を失う。その暗い意識の中で、届くはずのない懺悔をツッキーに贈った。
ああ、糞。
本当に糞野郎だ。俺はまたお前を助けてやれない。お前が辛い時にそばにいてやれない。
そしてお前が傷ついてるのに後から気づいて「大丈夫か」とか「俺が守ってやる」とか無責任なことばっかり言うんだよな。
もう終わったことなのに、ツッキーの中でその痛みを肥大させるだけなんて考えもせずに。
「おい、意識トばしてんじゃねぇよ」
グイっと髪の毛を掴まれて朦朧としていた意識が現実に帰ってくる。
「これから…お前の大事な大事な月島クンが犯されてるのを見てもらうんだからなァ?」
なんで。
あいつは俺の大切な奴で、ツンとしてて、でもときおり見せる素直な笑顔が可愛くて、背は高いはずなのにはかなく見えるから、守らないとって思ってたはずなのに。
俺は、こんなにも無力だった。
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