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よかったね。
帰ってきてまっさきに言われたのはこの言葉。
いつもの無表情に戻ってはいたけれど、何を言いたいかは全てわかった。
「……研磨、ありがとな」
別に、とそっけなく返してきた幼なじみから目をそらしてツッキーの方を見やる。
さっきから俺の服を握ったまま寝ているツッキーは安心した顔をしていて、俺は動けないまま幸せを感じていた。
「ずっと守るから……」
安心しろよ、ツッキー。
「……月島が大丈夫なら帰るけど」
「あぁ、ありがとうな」
うん、と返して部屋を出ていった研磨を見送ってもう一度ツッキーを見る。
「……くろお、さん……」
裾が握られて、視線が弱々しくこちらを見る。
「ツッキー、目ぇ、」
「黒尾さん、ぼくね、」
唐突に向けられた言葉。ツッキーはその言葉をいうごとに顔をゆがませて体を震わせた。
「嫌ですよね」
あはは、と力なく笑ったツッキーを思い切り抱きしめるしかできなくて、でも、同じぐらい震えた声を返す。
「お前のこと好きすぎて、烏野に返してやれなさそうだよ」
俺の胸に顔を押し当てたツッキー。
シャツがじんわりと濡れていくのがわかって、その頭をなでる。
「……もー、泣くなよ、たまんないじゃん」
「っだって、黒尾さん、無理してる……僕のこと好きとか、そんなの、ありえない……っ」
「ありえるんだよ。だから今こうしてるんだって」
頬を両手で挟んでこちらを向かせる。
涙で濡れたまぶたとおでこにキスすると、ツッキーは小さく声を上げながらすり寄ってきた。
「なぁツッキー、唇にしたいんだけど、ダメ?」
首を傾げるツッキーにキスだよ、という。
「……でも、」
「でもとかナシで。
ちゅーしてもいい?って聞いてんのよ。怖いなら言って?」
眉を下げてうつむいたツッキーと目線を合わせると、目をそらしてモジモジしはじめた。
「どう、ツッキー?」
「…………した、ぃ……」
その言葉の直後に唇を重ねる。
舌、入れていいのかな。
迷って唇を割ると、少し緊張したからだが寄りかかってきた。
「ぅ……ふ、くろお、さん……」
「んー?」
「好き……」
そのまま、寝息が聞こえ始めて。
「……あー、俺、超しあわせ……」
なんて、ひとりで呟きながら毛布を肩にかけた。
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