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「あー、いい天気ー」
ツッキーは結局1週間と少し東京に残った。
事情聴取とか手続きとかいろいろあって、学校もお休み。
で、今日はツッキーが宮城に帰る日。
昨日までに雨が降り尽くしたのか、雲一つない青空。ほんと、むかつくまでに。
「ツッキーは帰るんだよなー」
「当たり前じゃないですか。
学校一週間も休んでるのに、まだ帰りませんとか平気で言えないデショ」
その響きが、なんとなく「帰りたくない」と言っているようで、そっちを見るとちょうどツッキーと目が合った。
「……何ですか」
「んー? いや、少しは落ち着いてよかったなって」
ツッキーは警察に話を聞きたいって言われても、最初の2日間はまともに喋れなかった。
男の人がこわい、と震える声で言ったツッキーの言葉を俺が答えてなんとか凌いだけど、ツッキーはそのことを思い出すと緊張状態になっていたから。
「普通に喋れるようになってよかった」
そう言って笑うと、少し頬を赤くしたツッキーが「そ、その節は、ありがとうございました……」と言葉を投げかけてくる。
「んーん、気にすんなって」
付き合う、とはっきり言ったわけじゃないけど。
好きって気持ちを互いに言い合ってキスをしただけだけど、ツッキーが東京に来る前とは、明らかに関係が発展した。
「……また来いよ。あ、俺が行ってもいいけど」
「黒尾さんが宮城まで来たら、何事かと思われますよ」
そう言ってくすりと笑ったツッキーの荷物を搭乗口で手渡す。
「んじゃ、またな」
「……はい。また」
背中を向けたツッキーが遠ざかっていく。
たったそれだけ言葉を交わしただけだけど、無駄に愛しい気持ちになった。
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