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水音。 side司
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俺はどうしていいか分からなくなった。
この子はいったい今まで何を食べてきたんだろう。
カレーを食べたことがない日本人なんて相当レアだぞ。
「えーと、でも何も食べないわけにはいかないしなぁ…
水音くん、何か食べたいものとか飲みたいものとか何かないかなぁ?」
「あ、…あります!」
思ったより返事は早く返ってきた。
返事をした本人はまた両手で口を押さえて、『しまった』の顔をしているが、俺は内心とても助かった。
ないとか言われたら本当にどうしようかと思った。
「じゃあ、水音くん、何が食べたい?」
聞かれて、水音はしばらくモジモジしていたが、ようやくか細い声を出した。
「お、お水…」
え?水?
何だ?この子なりのジョークなのか?
だが、本人は本気のようでこちらの気を伺うようにカレーと俺を交互に見つめた。
……まぁ、正確に言えば目は合わしてないんだけど…
あんまり俺が黙っているので、本日2回目に水音が口を開いた。
「だ、ダメ……です、か?」
「え、あ、うん。いいけど、そんなんでいいのか?」
「…はい。お水……お水が、いい」
喉が渇いていたのだろうか。
まぁ、俺も無性に水を飲みたくなる日もある。そんな感じなのかな…
そう自分に半ばムリヤリ納得させてから俺は水音にひとこと言ってから水を取りに行った。
まるで女の子のように白く線の細い手にしっかりとミネラルウォーターが入ったマグカップを持たせる。
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