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過去編3
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億劫な学生の1日が終わり、俺は部活動にも入っているわけでもないので、そのまままっすぐ帰宅した。
…うるさい女どもを振り切って。
「………」
俺は黙って家に入り、ひとしきり冷蔵庫のアイスを漁ってから自分の部屋に直行する。
家には誰もいない。いつも通りだ。だから、そこらへんは好き放題なのだ。
父親は大手企業の秘書。母親は弁護士事務所を構える弁護士兼社長。
そんな家庭に生まれた俺はものごころついた時から1人だった。
小学生のとき、家事も炊事もひと通りできるようになるまで苦労したのを覚えている。
現在はそれに慣れ、なかなか会えない親の顔を見たのはいつ頃だったか。
帰ってきているのは知っているが、俺はめっきり夜に弱いため、話す機会はほとんどない。
とりあえずダブルサイズのベッドにダイブしてみる。
こんな姿、ペットのゴールデンレトリーバーの太郎以外の誰が知っているだろうか…
「クゥン…」
「あ、太郎」
家に帰るなりヘタっている俺が心配なのだろうか、ベッドからはみ出ている俺の足に鼻を近づけていた。
「こらこら、ベッドに寄るな寄るな。ベッドが汚れるだろうが…」
口ではそういいながら、俺はベッドから降りて太郎の前に座った。
太郎は『しめた!』とばかりに飛びついてきた。
今度は制服が汚れてしまうような気がしたが、そう思ったときには太郎は俺の膝の上だったので早々に諦めた。
「なぁ、太郎。お前だけだな?」
そう語りかけると、俺の言いたいことが伝わったのか伝わっていないのか(伝わるわけないが)
太郎はじゃれるのを止め、こちらを見つめた。
なんでもない、と太郎の頭をくしゃりとなで、俺は立ち上がった。
さて、夕飯の支度を始めるか…
「ワン!!」
太郎が元気よく吠えた。
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