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ランチ2
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あ、話そらしやがった。ま、いいや。
のってやる。
「あぁ朝礼の時言ってたヤツか」
たしかまわりの社員たちが騒いでいたっけ。
「ホンットーに先輩、そういうのに興味ないですね」
「そんなことないよ。俺だって自分の上司が誰になるかぐらい気になるさ」
「えーなんかそんな感じしませんよ? もう水音君にはすぐ食いつくクセに」
「そんなわけねーよ!」
「食いついてんじゃないですか」
「だからそういうのじゃ…」
「ちょっといいかな?」
「はい?」
俺と凛太朗の間に入ってきたソイツは、非常に懐かしい声の色をしていた。
俺は目を見開いた。
「なんですか?」
「いや、少し昔の知人を見かけたもので…
ね、音無先輩」
「音無?」
「あれ? 人違いかな?」
「…あぁ、そうだ。俺の名前は水垣だ」
「それはそれは失礼致しました。あ…そうだ。
わたくし、今度からここで一緒に仕事することになった藤本斗真と申します。
以後お見知りおきを」
そう言って差し出された名刺に、俺は確信した。
間違いない。アイツだ。
藤本斗真。俺の一個下の後輩で、俺の親衛隊隊長であった男。
なんでこんなところに…
その疑問は俺の頭からすぐに打ち消された。凛太朗が驚きの声を上げた。
「え! もしかして市丸部長の…」
「あれ? もしかして市丸部長の部下の方ですか?」
「は、はい。俺も、先輩も…先輩?」
表情の硬い俺に気がついた凛太朗が怪訝そうな声を上げる。それを受けて俺はあわててごまかした。
「まさかこんなふうに藤本部長とお会いできるとは思っていなかったもので…少々驚いてしまいました。
私、水垣司と申します。改めてよろしくお願いします」
立ち上がり、自分も名刺を差し出す。
それを見て、あわてて凛太朗も同様に名刺を渡す。
「はい、了解しました。…これからよろしく頼む」
そう言い、藤本は爽やかなビジネススマイルを浮かべた。
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