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確かな友情と少しの恋情
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「ただいま…」
………シーン
思ったとおりだ。
「おじゃまするぜー」
「あぁ」
「その水音クンとやらはやっぱりお休みに?」
「…みたい」
今日はもう、水音には会えないのか…
そう思うと別に水音に避けられたわけではないのに、勝手に胸がチクリとした。
いつもどおりまずはリビングに行く。
そこでいつもどおりリビングの明かりが点きっぱなしだということに俺はいくらか安心したのは言うまでもない。
荷物をその辺に置くよう青史にすすめ、窓の前で眠っている水音を抱え上げる。
「なるほどそれが水音クンか…」
ボソリと青史が呟いた。
また、胸がチクリと痛む。
まったく、今日の俺はどうしたんだろうか。正直、自分がこんなにショックを受けているということさえ自覚していなかった。
そりゃあショックはショックだったけど、朝職場に来たとたん無性に寂しくなった。
嫌われてしまった。怯えさせてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。
いろんなことが頭を一晩中駆け巡ったけれど、朝になってからより実感した。
もしかしたら、水音はここを出ていってしまうかもしれない。
仕事が終わって帰ったらもう水音はいなくて、リビングには俺だけ…
そんな妄想まで仕事中にしてしまう始末。仕事に支障はないつもりだったが、青史はもちろん凛太朗や市丸部長にまで訝しげな顔をされた。
「おい、大丈夫か?」
髪をワサワサとかきまわされる。ちょうど俯いた姿勢だったので、なんとなく甘えたくなって青史の肩にコテンと頭を置いた。
青史の手は暖かくて、昔から安心する。昔は少し照れがあったが、青史は俺のそれを見抜いていつも甘えさせてくれた。
しばらく俺がそのままポーッとしていると、
「ほら、今日ぐらい飲んだらどうだ?」
青史が片手でキッチンの台に置いてあるビニール袋を指した。
「でも、俺…」
「いいって。こんな日ぐらい気ィ使わずに飲もうぜ」
「いいの…!?」
「はいはい。今日は解禁ね」
「おぅ!!」
ちょっと嬉しくて、顔を上げた。
いつもの、青史だった。
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