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デート?
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かわいい。
部長は何度もそれを連呼しながら、また俺の髪をイジった。
俺はさっきまで考えていたことなんて全部忘れて、部長の柔らかい笑みをただただ見つめていた。
結局飽きるまで触られて、最後に軽く撫でてからその手は離れていった。
俺はそれを呆然と見送った。
「凛太朗さん?」
「……」
「凛太朗さん!」
「……は、はい!」
「落ち着きましたか?」
黙ってこくりと頷いた。
まだほおのほてりは治らないままだ。
もう一度部長を見ると、目があってまた、ふふふと笑った。
「それで? 映画の時間には間に合いますか?
それとも…今日はムリになったんですか?」
「え? なんでですか?」
「だって…なんだか急いでたみたいだから」
あ、そっか、部長には俺がそう見えていたのか…
さっきまでの自分の行動はたしかに何も知らない部長には急を要することがあったみたいに見えなくもない。
「あ、ちがうんです!
えと、あの、そうじゃなくて…」
「?」
どう言い訳しようかと考えていたら、ちょうどウェイトレスが注文を聞きにきた。
「あの、ご注文をお伺いしても…」
「は、はい! お、お腹空いたなぁ!
部長は何にします?
俺、ここの料理けっこう好きなんですよ!」
「あは、ありがとうございます!」
バイトらしく、若い店員が愛想よく笑った。
それに俺も軽く笑顔を返し、いつもは頼まないサンドイッチのついたランチセットを頼んだ。
もちろんお腹空いたなんてウソだ。
家で軽く食べてきたから、もともと少食の類に入るだろう俺にはちょっと…キツイ。
「じゃあ私も同じもので」
「かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
あ…行っちゃった。
チラリと部長を見ると、もう興味がなくなったのかメニューを広げていた。
「よくここには来られるんですか?」
「ええ、まあ…」
「そうなんですか」
それきり、しばらく会話が途切れた。
司先輩の方を見やると、司先輩は笑いながらコーヒーを飲んでいた。
たぶん…ブラック。
「凛太朗さんってけっこう食べるんですね。このランチセット、意外と量あるのに…」
「え!?」
「ほら」
そう言って差し出されたメニューにはたしかにボリュームのありそうなサンドイッチふた切れにドリンク、デザートがついたものだった。
「からだつきからして少食だと思ってました」
「あぁほんとだ…」
「え?さっき…」
「あ! よく言われるんですよー
この体のどこにそんな量が入るのかって。
あははははー」
「…………………………そうなんですか」
いや、間、ありすぎだろ。
あー完璧怪しまれた。今のは怪しまれた。
その後もポソポソと俺たちは会話した。内容は大したことじゃなかったけど、
思ったより話しやすくて気がついたら夢中になって喋っていた。
そして、問題のランチセットがきた。
…うわー。食べれっかな、俺。
「いただきます」
ふいに水音くんの小さな手を思い出した。
水音くん、かわいかったな…
突然きた俺なんかに懐いてくれたし、とってもいい子だった。
「いただきます」
俺は少しフワフワしながらサンドイッチを頬張った。
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