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デート?
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「凛太朗、さん?」
名前を呼ばれて、俺は顔を上げた。
俺の名前を呼んだのは…あれ?
「あの、失礼ですが、どちらさまで…」
「何してるの、水音」
会計を終わらしたらしい司先輩がサイフを片手にこちらを振り向いた。
あ…
忘れてた。
「え、凛太朗と…ぶ、部長!?」
こちらにやってきた先輩ははじめて俺が相席してた人が分かったのか、すっとんきょうな声を上げた。
「あれ? 水垣さん。いらしたんですか。
奇遇ですねぇ」
「…どうも」
「司、さん?」
先輩の固い声にとなりの大男がおそるおそるといった様子で言った。
その様が一瞬、誰かにかぶったような気がした。
あれ…?俺、この人、知ってるかも…?
記憶にはないけど、はじめて会ったような気がしない。
「すみません、俺たち、ちょっと急いでるんで。失礼します」
先輩はせかせかと言うと、一瞬俺を見つめてからやっぱりそれが自然だとも言うように大男の手を握り去っていった。
最後まで、大男は、何も言わなかった。
「待ってください」
凛とした声がそれを引き止めた。
「部長…」
「すみません、ちょっと席を外しますね」
「え?」
「あなたも、少し水垣さんを借りますね」
「ちょっと…」
そういうなり、部長は俺たちには目もくれず司先輩と店を出ていった。
店の少し離れたところでなにやら話し始めた。
俺があっけにとられてそれを見つめていると、大男が何の前触れもなく俺の前に座った。
「お久ぶりです。凛太朗さん!
ボクです、水音です」
「え…」
「覚えて、ませんか?」
「水音、くん? え? いや、そんなはずは…」
水音、なんてそうそうある名前じゃない。
だけど、目の前にいる男とこの状況に俺は完全に混乱していた。
「水音くん、成長した、ね…?」
「成長? あ、身長のこと?
うん、そうだね! ボク、おっきく、なった!」
俺の苦しまぎれに絞り出したセリフに答える男は、たしかに水音くんと面影がないこともない。
ただ、ひょろっとしたからだつきにスラリとした長い足。その上にのった小さな顔。その小さな顔には大きな鳶色の瞳がキラキラしていた。
相変わらず口元は引き結ばれていたけど、視線が『嬉しい』という気持ちを体現していた。
「えっと、あの…久しぶり」
「はい、久しぶりです」
「げ、元気にしてた?」
「え、んと…それは今の体調のことですか?
それとも、あの…今までのこと全体的な気持ちのことですか?」
「え?」
「す、すみません! ボク、あの、バカだから、ごめんなさい!」
水音くん(?)は突然シュンとさせると、テーブルに額をこすりつける勢いであやまり始めた。
こちらをうかがっていたまわりの客がザワッとするのが手に取るように分かった。
「そ、その、水音、くん!
そんなことしなくていいから!顔上げて!」
は、恥ずかしいから!!
俺はチラリとガラスの向こうの先輩たちを見た。
先輩…!この状況、なんなんですか!もう!
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