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トラウマ
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………というか、
今のこの一連の様子、
もし、他の人が見たら…
たとえ、そういうところに勤めててプロ級にもんのすごく馴れていた人じゃなくてもだ。
もしかして、いやもしかしなくても恋人同士…にしか見えないよ、な…?
そう思った途端、なんだかものすごく恥ずかしくなって、俺は頭がぐっちゃぐちゃになった。
だが、俺の抵抗も虚しく、水音くんはさらに強い力で抱きしめ、しまいには宥めるように頭を撫でる始末。
意識したらさっきまでまるで気にしなかった自分の汗の臭いや水音くんの息づかいの音が急に大きく聞こえる気がした。
そしてそのまま、水音くんは注射を嫌がる子どもをとりなすように空いていた部屋に俺を連れて行った。
…腕にすがりついてもダメだった。
部屋に入り、やっと水音くんの体温から解放されていたときにはもう、俺は半泣きだった。
「……うっうー……!」
「ご、ごめんね、凛太朗さん。
イタかった?
でも凛太朗さんが暴れるから…」
「うるさい! ……水音くんのバカぁ!
俺、…俺ぇ!」
まばたきするだけで涙がこぼれそうで、俺は必死に言葉を絞り出した。
ダメ! 水音くんが見てるのに…!
涙を見られまいと部屋の隅っこに体育座りする。
「……ヒック…グスッ…」
「凛太朗さん…」
「くんなぁ!」
「あ、ごめんなさい…」
水音くんはしゅんとしてたみたいだったけど、俺はそれどころじゃなかった。
お互いに喋らないまま、しばらくそうしていた。
時間がたって少し落ちついた俺は、自分の膝から顔を上げた。
それでようやく俺は水音くんが泣いていることに気がついた。
「え? …なんで水音くんが泣いてんの?」
「ぼ、ボク、凛太朗さんに…グスッ…ひどいこと、したからぁ…!」
「は!? 意味わかんない!
水音くん別に泣く理由ないじゃん!」
「だって…だって…ううー!」
水音くんはその場に座り込んでついに本格的に泣き始めてしまった。
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