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トラウマ side司
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俺は、浅い眠りの中で、ユメを見た。
いつもの俺の部屋に水音と俺がいた。
水音は、いつものようにこちらにパタパタとかけてきた。
そして水音に手を引かれてやってきたのは、またまた俺んちの風呂場。
俺はなぜかそれに抗うことも自分から進んで行くこともできなかった。
唇もなぜか動かなかった。
水音は無邪気な笑顔のまま、もう一方の手でバスタブを指差した。
お風呂に、一緒に入りたい…のか? 俺と?
イマイチ水音の考えが分からなくて、俺はふと鏡を見た。
そこに映ったのはパジャマ姿の少し若い俺と青史。
青史はなぜかハダカで、むかしみたいに俺の肩にふざけて抱きついてきた。
俺が驚いた顔をしていると、すぐ足元からワン!と何かが吠えた。
むかし飼っていた太郎だった。
あぁ、この光景は見たことがある。
たしか、高校時代に何度か青史が俺んちに泊まったことがあった。
本人はお泊まり会だってはしゃいでたっけ。
まだ仲良くなって数ヶ月たったころだったかな…
そんなことを考えていると、いつのまにか俺もタオルを首にかけハダカになっていた。
そのままバスタブになだれ込むようにして入った。
ザブンとお湯が溢れる。
それで、たしか…青史とさんざんしゃべって俺がのぼせたような…
だけど目の前の青史は笑顔を浮かべているものの、唇を引き結んだままだ。
怪訝に思って青史を見つめると、青史は何も言わず俺を勢いよく抱きしめた。
お湯がバチャンッと激しく音を立て水しぶきをあげた。
その水しぶきは俺の顔にもかかって、なすがままの俺の頰はまるで泣いているようだった。
このぬくもり…少しなつかしい。
あの時もこうやって抱きしめてくれたっけ…
安心して目を閉じた。
すると、まぶたの裏に俺の前で言い合いをする両親の姿が映った。
どうしてか声は聞こえないけど、何かを激しく言い争う2人に俺は頭を抱えた。
やめて、やめて!
誰も、誰も失いたくない。
俺を…俺を、一人にしないで…!
その時、誰かが俺の名前を呼んだ。
『先輩! 司先輩! 聞いてくださいよぉ〜』
泣いて、いるの?
俺はおそるおそる顔をあげた。
目の前にいたのは凛太朗だった。
ボロボロと大粒の涙を流しながら、俺にすがりついてくる。
かわいいな…
思わず手を伸ばし、凛太朗の短髪の頭を撫でる。
凛太朗はキョトンとした後、嬉しそうに頰を染めた。
反応が太郎とどこか似てるかも…
クスリと笑うと、不意に頰に温かく濡れたものを感じた。
驚いて手をやると、指先が濡れた。
え、俺……どうして泣いてるの?
カラダもさっきからダルいし、あんまり動かない。
なんで? なんで?
どうして……
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