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白銀の虎
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短い毛に触れたとき、安心に似た不思議な感情を感じながらも心臓が高鳴るのが分かった。
とてつもなく怖い。
怖いけど…ちょっぴりうれしい。
自然と微笑んでいた。
刺さるまわりの視線を感じながらも、俺はそっと虎のほおを撫でた。
虎はまだ訝るようにこちらを見つめていたが、抵抗はしないみたいだ。
しばらくそのまま撫でていると、少しだけ顔の位置を下げて撫でやすくしてくれた。
許してもらえたのかな。
「…」
目を見つめ返すとグルルと小さく鳴いた。
なんとなく肯定してくれたみたいで、うれしくて青史を探した。
「…! 青史! …青史!!」
青史はまだ脇腹を抱え込んだままではあるが、上半身を起こそうとしていた。
あわてて凛太朗が青史を支えようとしたが、ギロッと虎が睨んだので俺が起こした。
藤本は黙ってそれを見ていた。
「青史! 大丈夫!?
はやく…はやく救急車を!!」
「ガオオ!」
のしのしと虎が青史に近づいてくる。
思わず青史を庇うと、虎がスッと目を細めた。
「え…」
虎は青史の目の前までくると前足をたたみ、器用に服をめくると青史の傷口をペロリと舐めた。
ビクッと恐怖と驚きで青史のからだが跳ねる。
そして、そそくさとその場を離れていった。
少し離れたところで、なにもなかったように寝そべりクアァと大きなあくびをした。
「あれ…」
「青史? 今…何されたの?」
「切り裂かれたとこ、舐められた…。
だけ、なんだけど…」
青史がペロンとTシャツをめくると傷口部分がもう塞がっていた。
爪痕こそハッキリと残っているものの、もう血は出ていなかった。
「痛みは?」
「痛いけど、さっきより全然マシ。
意識もハッキリしてるし」
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