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白銀の虎
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痛みはマシになっていると答えた青史だったが、まだなにか言いたそうに口を開いた。
「俺が言うのもなんだけど、司は?
司も舐められたのか?」
青史に言われて足元を見ると、傷あと1つ見当たらなかった。
ダラダラと血がすたっていたはずなのに、血はおろか赤色さえも見つけられず、虎のヨダレだけが不自然に光っていた。
「大丈夫…みたい」
青史が腕の力だけでこちらへ移動し、ふるえる手ですうっと足を撫でた。
あまり筋肉質ではない足が少し恥ずかしくて、ちょっと足を引いたらメッと目だけで怒られた。
「これ…」
「ちょっと、青史、くすぐったい…」
「本当にヨダレか? 水みたいにサラサラしてるけど」
「え、そうなの? …ほんとだ」
「先輩たち…」
ふいにふるえる声が聞こえた。
「と、虎が…ぃません」
「え?」「は?」
凛太朗が顔を蒼白にしながら指差した先には、もう、なにもなかった。
「あと…部長が、いません」
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