アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
スキなんです。
-
あの日から、毎日が劇的に変わった。
平和だった毎日が、一瞬にして消えていった。
青史とギクシャクしてるのがこんなにもつらいものだとは思わなかった。
一方的に守られていた高校時代だったけれど、今はだいぶ自立できていると思っていた。
仕事もつらいけど、表面的に見れば安定していたと思うし、何より俺を頼ってくれる凛太朗たち後輩が可愛くてしかたなかった。
毎日が幸せだった。
いろんな人から嫌みや陰口を叩かれても自然と平気だった。
でも、そうじゃなかった。
幸せだったのは、仕事が楽しいからとか後輩がいるからとかは、ぜんぶ、そばに青史がいると感じられたからで。
青史は明るくて優しくてノリがいいから俺の他にも友達がたくさんいる。
男友達も。女友達も、たくさんいる。
昔はいつも不思議だった。
そのたくさんの友達の中でなんで俺なんかとつるんでくれるのかって。
俺は青史が大好きだし、青史のとなりはいつだって心地よかった。
俺の毎日は青史で埋め尽くされていたんだ。
本当は…ずっと気づいていたんだ。
それを、俺は……!
「あの…水垣さん?」
「先輩!せんぱいってば!」
「…あ、はい!」
仕事中ということを思い出して、俺はあわてて我に返った。
クライアントの長谷川さんと隣の凛太朗がこちらを心配そうにこちらを覗き込んでいた。
すぐに状況が頭の中に流れ込んできた。
「失礼いたしました!
えと、問題のこのパーツの発注先との連絡なんですが…」
さいわい、その後も長谷川さんは俺のことを気にせず何事もなく仕事の話を続けてくれた。
「…はい、分かりました。
ではこちらの都合次第でまた連絡させてもらいますね」
ニコリと微笑を浮かべながら長谷川さんは帰っていった。
俺と凛太朗はそれを見送ると、二人きりになった会議室でお互いに息をついた。
この仕事にひと段落がついたから、というよりは長谷川さんが気を悪くしないかハラハラしていたからだ。
「…ごめん、凛太朗」
「いえ、俺はいいんですけど…
先輩、今日顔色悪いですよ?
目のクマ、ひどいの分かってます?」
凛太朗の探るような視線が突き刺さる。
「そ、そんなに?」
「はい。
先輩にしてはめずらしいじゃないですか、自分の体調が見えてないなんて。
昨日ちゃんと眠れましたか?」
「えっと…昨日はなんだか寝つきが悪くて」
「…そうなんですか。
じゃあお昼になにかスタミナつくものとか食べたらどうですか?」
「スタミナ?」
「だって顔、真っ青なんですもん。
もともと先輩、肌白い方ですから青白く見えますよ?」
「そ、そうなのか…」
「まぁ、女子社員じゃないからそんなにうるさくするもんじゃないかもしれないですけど…」
心配する口調とは裏腹に凛太朗の表情はまだ険しい。
「うん、ありがと。凛太朗。じゃあ」
「じゃあ! …お昼行きませんか?
とっくに2時過ぎてますけど!」
「え!?」
もうそんな時間!?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
159 / 431