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虎の正体
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藤本に呼び出され、場所を移した俺はとてつもなく不機嫌だった。
会社での紳士的な藤本とは全くちがうオドオドしっぱなしの藤本にも無性にイライラした。
「えっと、あの…まず、すみませんでした」
「は? なんで俺に謝んの?
おまえ、謝る相手まちがえてるだろ」
「はい、でも…」
「でもじゃねーよ。司に謝ったの?
順番逆だろ。ちゃんと頭使って考えろよ」
「はい。…それについては反論しません。
ここで俺が謝るのが筋違いだってことも分かってます」
「…」
俺を呼び出した意図が汲めない。
藤本に言いたい文句は山程あるがゆえに言葉が上手く出てこない。
このままだと怒りに任せて、藤本をただひたすら攻めて怒鳴ってしまいそうで口をつぐんだ。
とりあえず人通りが少ないという理由だけで来た給湯室の壁の向こう側は俺たちのデスクのあるフロアだ。
あまり声を大きくはできない。
小さく深呼吸して気持ちをクールダウンさせる。
「…で?」
思ったより低く出た声に、藤本はビクッと反応すると、あわてたように話し始めた。
「今回お話したいのはあの虎のことなんです」
「虎?」
意外なワードに思わず聞き返した。
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