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虎の正体 side藤本
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俺は、あの日から気が動転しっぱなしだった。
あの日、俺は司先輩に手を出した。
司先輩を襲うのは二回目な上、今度は無理やりした。
手や足を縛り、嫌がる司先輩に強引に自分を押しつけた。
でも本当は、最初はそんなつもりじゃなかった。
司先輩に手を出したらどうなるかは最初の時点で十分分かっていたし、
司先輩への気持ちは今でも変わらないけど、司先輩がそれを嫌がるなら心の中に閉じ込めるつもりだった。
そもそも俺がこの会社に来たのは、勤めていた代々受け継がれてきた自分の会社が厳しい状況になったからだった。
指ではとても数え切れないほどあった得意先が、司先輩を家に連れ込んだ日の翌日を境に、1つ、また1つと減っていくのだ。
半年ほど経って初めて俺はこれは只事ではない、と焦り始め、あわてて色々探りを入れた結果、ある会社が元得意先を独占していることがわかった。
その独占している会社…
それが俺が今勤める、シリウスコーポレーション、略してS.L.Cだ。
だから、司先輩の楽しそうな笑顔を見かけたときは心臓が止まりそうなほど驚いて、嬉しくて、興奮した。
心がまた火を灯した気がした。
運命かもしれない、と。
柄にもなく、何もかも忘れて思ってしまった。
まったく愚かしいヤツだと自分でも思う。
また俺はコイツに手を出すのか、と。
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