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虎の正体
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音無司先輩…いや今は水垣司先輩。
再会したときの司先輩は、俺の知らない顔をしていた。
とっても幸せそうだった。
きっと青史先輩が隣にいて、青史先輩にその顔よりも甘く、甘く、愛されているのだと確信した。
だけど、学生時代からは感じられないほど柔らかい雰囲気の先輩の隣には青史先輩じゃないちがう誰かがいた。
ここの会社に勤めるようになって3ヶ月ほど経って、その誰かが司先輩のお気に入りの後輩だとも知った。
だが当時の俺は、まだ今の司先輩を何も知らなくてあたりまえなのに、なぜかイライラした。
”なんだよ。青史先輩や俺以外にも
そんな顔見せんのかよ”って。
どうしてそんな憤りに近い気持ちを覚えたのかは分からない。
だけど、ものすごく腹が立った。
それが仲良く話す凛太朗に対する嫉妬か司先輩に対しての怒りかも分からない。
けど、俺の機嫌を損ねるには十分だった。
だから、俺が青史先輩の代わりに凛太朗を司先輩から引き離そうと考えた。
見た目は結構アホそうだったから、楽勝だとタカをくくっていた。
同時に、青史先輩のようすを会社にいる間、バレない程度に観察することにした。
青史先輩は俺の正体に気がついていたみたいだけど、俺を見張るだけで何も言ってこなかった。
カンのいい何人かの社員は俺たちのことを何かウワサしていたみたいだが、そのウワサさえ青史先輩はノータッチだった。
俺も直接は聞かれなかったことをいいことに青史先輩を観察し続けた。
そして、俺がまだ凛太朗をどうこうできてないうちに、今度はまたちがう事件が起きた。
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