アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
転がる運命
-
「すみません、俺たち、ちょっと急いでるんで。失礼します」
俺の顔を見てなにかしら思ったのだろう、司先輩はさっさとその場をあとにしようとした。
その手にはイケメンの線の細い、それでいて先輩より大きい手があった。
もちろん俺がそれをみてイラッとしないわけがない。
話を聞くのはまた後日でもいいかと思っていたがそんなのはヤメだ。
「待ってください」
ムシされるかもと思ったが、先輩は足を止めた。
「部長…」
「すみません、ちょっと席を外しますね」
「え?」
「あなたも、少し水垣さんを借りますね」
「ちょっと…」
凛太郎は納得していなかったようだったけど、このイケメンは凛太郎の知り合いみたいだしこの際置いていく。
警戒心むき出しの司先輩の背中にそっと触れると、先輩は意外にも素直に歩き出した。
俺はウェイターに1万円札だけ渡すと、そのまま店を出た。
最後にチラッとイケメンを見ると、ソイツは少し寂しそうにこちらを見ていた。
………ベー、だ。
俺の先輩に触ンじゃねえよ、バーカ。
腹いせに小さく舌を出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
184 / 431