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襲来
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その愛しい後ろ姿は、言葉とは裏腹に躊躇することなく俺の前から消えた。
手のひらに残るぬくもりが愛しくて、またそれと同じくらい恨めしくて、何度か軽く握っては開くことを繰り返した。
途中で自分の行動に未練たらしいものを感じ、ピンク色の天井向かってため息を洩らした。
もう、この恋は終わっていたはずだったのに。
それでもスッキリしていない自分にイライラする。
俺はまた、ハリボテの終止符をうつつもりなのか。
自分でもわからない。
けど、ハリボテでないことを強く祈る。
閉ざされたとびらはもう、開くこともないし、音すら聞こえない。
思わず目を細めたとたん、俺の頬に一粒涙が伝った。
あわててそれを拭い、とびらから視界を外した時だった。
ガンッ!と嫌な音を立てて視界がありえない方向に反転した。
最初は何が起こったかわからなかった。
ただ、はげしく頭を打ったことだけはわかった。
「イッ……!」
右耳の後ろあたりを中心に鋭い痛みが走り、一瞬意識を失いそうになった。
俺はそれに抗うこともできず、時間差みたいに体が床に叩きつけられる。
ゴキュッ!と左足首をぐねり、叩きつけられた痛みよりそっちの方に意識がいった。
痛みを必死にこらえながらも上半身をおこすと、俺はベッドのすぐ側に倒れていた。
どうやらベッドの角に頭をぶつけたらしい。
そちらの方に手をやると、大きなたんこぶらしきものができていた。
よくよく考えると背中にも痛みを感じる。
なんだろう、なんか…鋭いもので引っかかれた感じの…
「……!」
そして俺はやっと目の前のありえない生き物を目に捉えたのだった。
と、虎ッ!!?
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