アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
◇
-
春休みも終わり、騒がしい我が家から到底学校には見えないここへ帰ってきた。
この高校もなかなか騒がしいけど、自分にも被害が来る自宅よりはまだマシだろう。
今年も平和でありますように、と思いながら門の前まで行くと鉄格子の門を登っている人影が見える。
初日から全然平和じゃねえ…!
とっさに降りてこいと叫んだ時にそいつの手が滑ってしまい、まずいと思った時には遅く、すでにその体は宙に浮いていた。
とっさに持っていた荷物を放り投げ落下地点へ走り、そいつを抱きとめる。
幸いお互い怪我はないようで安心したが、不審人物は気を失ってしまいまだ不安が残る。
頬をぺちぺちたたきながら声をかけると、しばらくして目を覚ました。
漸く安堵することができ、一息つくとそいつを鋭く睨み付ける。
「はあ…まあ無事でよかったわ。だが…てめえどこのどいつだ?この門よじ登ろうとするなんざまるっきり不審者ですって言ってるようなもんだろ。一応ウチの制服を着ちゃいるが、ほんとにそれ学園から支給されたもんか?」
「へっ?!え、ええとオレは一応今年からこの学校の二年に編入する辰巳 榛っていうんだ。よじ登ったのは門の開け方分からなくてちょっと冒険心が騒いだというか…ごめん。そして顔、近くないか?抱きとめてくれたんだろうけどこの距離ちょっと恥ずかしいっつーか…」
「あ?あぁ、悪い。…確かに今年編入してくるやついるって噂で聞いたことある。取り敢えずは信じとくわ。ってか編入生なら入り方くらいちゃんと聞いとけや…ったく。この門はな、あれ以上いったら電撃装置と人感センサー、あとは防犯カメラが働いてサツが来るんだ。開くのは車での来訪が来た時くらい。んで、俺ら生徒は横の普通のドアから入る。カードキーがあれば呼び鈴押さなくていいんだけど、お前持ってる?」
「怖い学校だな…。あ、もももってる!」
えーと、どこやったかな…なんて鞄を漁ってる自分より少しだけ背の高い辰巳と名乗る同い年の男を改めて観察する。
人のことは言えないが地味でオタクそうな風貌、そしてそれと反する言葉遣い。
結論。こいつは変な奴だ。この学校に入っていろいろ変な奴を見てきたが、これほど見た目と行動にギャップのあるやつは初めてだ。目を離すととんでもないことしでかしそうっていうかしてたけど。あんま関わりたくないな、さっき今年も平和にって願ったばかりですよ、俺。
取り敢えずまだカードを探している辰巳の腕を掴み動揺しているそいつをよそに自分の鞄を拾い、入口のドアのカードキー差し込み口に自分のカードを差した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 73