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この店は看板通り、ニューハーフの店だ。
このオッサンが「ママ」だが、メイク前の仕込みのときは、仕出し屋の板前かくや、
というくらいの立派なオッサンだ。
顔はまあいい方だと思うのだが、イケメンが必ずしも美女になるとは限らない。
本人はカマボコの切り口みたいな目が、松嶋菜々子似のチャームポイントだと言い張ってはいるが。
だが抜群の料理の腕で、胃袋をがっつりつかまれ、骨抜きにされた男は多いと聞く。
「さっきから旨そうな匂いしてるな」
「ああ、店の子たちが来たら食べさせようと思って。食べる?」
「いいの?」
「ただの焼きおにぎりだけどね。」
「女の子」達が食べやすいように小ぶりににぎられた三角おにぎりが、
醤油とごま油の香ばしい香りとともに目の前に差し出された。
表面はカリッと、だが噛むとほろりと現れる中身はもっちりと米の食感と甘みを残していて、
塩加減の絶妙さとあいまって、たまらない旨さだ。
ああ、日本人でよかった、とか思いながら口中いっぱいに頬張ったところで、
「今日、ジョーちゃんのお友達が来るんだったわね。」
「はふっ。」
しゃべれないので大きく頷首する。
「男の人?」
「はふ」
「・・・・いい男?」
「んぐ。」微妙、のゼスチャー。
「ジョーちゃんの好きな人ね?」
「ぐ」
「ああ、今お茶持ってくるわね」
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