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それから数日俺は、アパートの解約の手続きや、バイト先への挨拶、
引っ越しの準備など、雑用に追われた。
皮肉なことに、なぜこんなことをしているのか一瞬わからなくなるほど、
体はなんともなくて、すべて悪い夢だったかと思うくらいだった。
いらないものを処分して、かなり広くなった部屋に、
ようやく藤川を呼んで入れてやった。
「丈さん?・・・。」
ずいぶん殺風景になった部屋にとまどう藤川を「いいから入れ。」
と引っ張り上げる。
実はきのう、ミズキに言われたんだ。
「ジョー、帰る前にペキちゃんなんとかしてやんなさいよ。」
「え、なんとかって?」・・何?
「髪よ。髪。」ミズキは自分の髪を手の甲でさらっと触りながら言った。
藤川は最近は前髪をあげたり、後ろで縛ったりしてずいぶん見た目は
すっきりしていたが、そういば下ろせばかなりの長髪だった。
「あの子、入団してから一回も床屋行ってないわよ。」
「え、なんで?」
「丈さんが切ってくれるんだって。床屋行くなって言われたって。」
・・・・忘れてた。そういえばそんなこと言ったっけ。
「このまま帰っちゃったら、あの子ラプンツェルになっちゃうよ。」
呆れた。まるで延々と「待て」をしてる犬みたいだ。
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