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朝2
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シャワーを浴びた蒼牙の準備を待ち部屋を出る。
鍵を締めていると、隣の部屋から同じように一人の男性が出てきた。
視線を感じ何気なくそちらを見ると、慌てたように顔を反らした。
…なんだ?
少し不思議に思いながらも「行こう。」と蒼牙に声を掛けた。
「……。」
「蒼牙?」
返事もせず立ち尽くす蒼牙を振り返る。
蒼牙の視線は隣の男性に向かっていて、何を思ったのかおもむろに男性に近づいていった。
そして逃げ腰になる相手の耳元に口を寄せ何かを囁いた。
途端に真っ赤になる男性から体を離し、笑いを堪えた表情で戻ってきて俺の肩に手を回す。
「お待たせ、行こう。」
「え、いや、知り合いか?」
真っ赤になったままの男性を指差し聞くと「いいや、知らない人。」と笑う。
「でもせっかくだしね。サービスしてあげようか。」
「は?…ンッ!?」
そう言うと蒼牙は俺の肩を抱いたまま壁に押し付けると、顎を掴んで上向かせ口付けてきた。
「ン、…ハッ…蒼牙、人が見て…ン!」
慌てて押し返そうとしたが、その手も捕まれ握られる。
チュッ…チュクッ、
舌まで絡められ、訳が分からないまま翻弄された。
チュッ…
音をたてて唇を離すと、蒼牙は「急にゴメンね。」と綺麗に笑った。
「な、なんで…」
他人に見られた恥ずかしさもあったが、それよりも訳が分からず口元を押さえたまま呟いた。
「ん?まだ足りない?」
ニヤッと笑って口を寄せてくる蒼牙の顔を押し返し、「もう充分だから!」と腕の中から逃げ出した。
「…残念、じゃ行こうか。」
クスクスと笑いながらそう言うと、蒼牙は俺の腕を掴んで歩き出す。
「バイバイ。聞き耳たてるのは良いけど、この人をオカズにしたらダメだよ。」
後ろを振り返り手を振る蒼牙の言葉に、血の気が引いた。
…まさか、
「そ、蒼牙。」
「んー?」
「まさか、さっきの客…聞いてたのか…?」
違うと言ってくれ。
どうか勘違いであってくれ。
昨夜の情事の声を聞かれていたなんて…恥ずかしすぎる。
「みたいだね。あの視線は確実でしょ。」
「…ッ…!!」
俺の願いも虚しく、蒼牙は愉しそうに「だから見せつけたんだよ。貴方は俺のものだって。」と続けた。
言葉を失った俺とは反対に綺麗に笑う蒼牙。
「…ッ…お前、ホントに性格悪すぎる!」
…早く犬に戻ってくれ。
そう強く願ったのは初めてだった…。
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