アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
37.✩いかがわしい
-
✩✩✩✩
今朝楓さんに言われた通り、俺は一人で留守番をしていた。楓さんが作り置きしておいてくれた夕飯もとっくに食べ終えて、何気なく付けたテレビの音が一人きりの広いリビングに響いていてなんだか寂しい。
楓さんが夜に一人で出かけるなんて今日が初めてだ。
やっぱり、か、彼女さんと会ったり、してるのかな……?そうだったら、嫌だな……。嫌だなんて思っちゃいけないのに……。
…………もしかしたら今日は帰って来ないかも。
そんなことを考えてしまって余計に気持ちが暗くなった。
はぁーっと長いため息をついて大きなソファーに寝転がる。
「ん……?」
ふと、テレビの横に置いてある棚が気になった。正確には棚の一番下段に置いてあるDVDなんだけど。
その棚の上段と中段には楓さんのお気に入りの洋画やドラマのDVDが置いてある。けれど、下段に置いてあるのは他のそれとはなんか違う、なんだろう?
その棚のところまで行って手探りでテキトーに一本、一番下から引っ張り出してみた。楓さんに対しては発揮されない積極さを嘆きつつ、手に取ったDVDのパッケージを見て思考が停止した。パッケージにはデカデカと、男の股間に女が顔を埋めてる写真が……。
「っ!?」
反射的にそれから手を離す。カシャンと音を立てて床に落ちたそれは、な、なんていうか……見てはいけないものだと思う。
…………な、なにこれ……。
は、ハレンチというか、いかがわしい類の…………あ、は、早く片付けなきゃ……。
頭は意外と冷静でそう思ったのに、なかなかにショッキングなものを見てしまったせいか体は動かなくて、どうしようどうしようと無駄に考えていると廊下の方から「ただいまー」と楓さんの声がした。
わ、わあああっ……どうしよう楓さんが帰ってきた……!
一人頭の中で大混乱を起こしている俺をよそに、無情にもリビングのドアが開かれた。
「ただいま……って、何してんの旭」
「あ、えっと、えっと、おかえりなさいっ!」
「どうしたの?見たいDVDでもあった?」
楓さんの方を見れずに早口でそう言うと楓さんは不思議そうに聞いてきた。
どうやらドアの近くに立っている楓さんからはソファーやテーブルが壁となってコレが見えないらしい。これは……いけるかも……。
「ううん、別に!」
「そこにあるのは自由に見ていいからね。暇なときにでもどうぞ」
少ししてからドアの閉まる音と足音が遠ざかっていく感じがした。たぶんリビングから出ていったのだろう。ほっとして強ばっていた体から力を抜いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 322