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53.✩釘付け
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✩✩✩✩
「はぁ……疲れた……」
浴槽のふちに顔を伏せて湯船に浸かるとどっと疲れが押し寄せてきた。
家に帰って来るまで……帰って来てからもしばらく放心状態だった。
だって、あんなこと言われたら……。
『平坂先輩、男もイケるってさ』
学校で市倉に言われたことがずっと頭の中をぐるぐるしてる。
いや、市倉の言ったことを真に受けるのもどうかと思うけど……でも、もし本当だったら。……これって市倉だけじゃなくて俺にもチャンスはあるよね?衝撃半分、嬉しさ半分だ。
男もイケるってのは、男も抱けるってこと?あ、男に抱かれるって可能性も……いや、楓さんが男に組み敷かれるのが想像できない。楓さんが攻めてるとこならちょっとだけ想像できた。
えっちな姿の楓さんを考えただけで全身に熱が広がって逆上せそうになる。ああ、楓さんでそんなことを考えるなんて最低だ……。
……でもなんで市倉がそんなことを知ってるんだろう。楓さんと中学高校って同じだったから噂で聞いた、とか?それならまあ有り得るけど……。
早々に風呂から上がりタオルで髪を拭きながらリビングへ行くと、楓さんが難しい顔をしてスマホとにらめっこしていた。
楓さんの隣に座って凭れるとぽんぽんと頭を撫でられた。あつい……やっぱり少しのぼせたかも。
「……彼女さん?」
「ん?ああ、メールの相手?違うよ、知り合い。飲みに誘われてるの」
楓さんがお酒飲んでるところ見たことない。ついこの前の夜出かけてたけど、その時はお酒飲んで来なかったみたいだし。楓さんは酔ったりするのかな。
「飲み行かないの?」
「うん、断るよ。飲み行くくらいならお前と家でゆっくりしたいから。あ、そうだ。どうせなら酒買ってきて二人で飲むか」
「……俺、お酒飲んだことないんだけど」
「度数の低いやつなら大丈夫じゃない?明日買い物行った時に買ってこよう。楽しみだな」
楓さんは鼻歌を歌いながらまたスマホをいじり始めた。俺は凭れたままその鼻歌に耳を傾け、何気なくテレビのチャンネルを変えた。
たまたま回したチャンネルでやっていた音楽番組で、今流行りのアイドルユニットが楓さんの鼻歌を追いかけた。あ、ちょうど同じ曲歌ってる。
楓さんもそれに気付いたのかピクリとしてテレビに目を移した。何か気になることでもあったのか、楓さんの目はテレビ画面に釘付けになっていた。
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