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55.✩もしかしたら
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✩✩✩✩
アラームで目が覚めた。
楓さんに撫でられてていつのまにか寝ちゃったらしい。昨晩俺を撫でてくれた目の前に置いてある綺麗な手を取って、ぐにぐにしたり握ったりして遊んでみる。
楓さんの手は魔法の手だ。
楓さんに撫でられるだけで気持ちよくなるし、楓さんに触れられるだけで熱くなる。
俺はどんどん楓さんのことが好きになっていて、楓さんが俺の名前を呼ぶたびに何だろう、って期待してしまう。
ふとした瞬間に楓さんの求める『旭』はやっぱり前の俺なんじゃないかと怖くなるけど、今の俺と向き合うって言った楓さんの言葉を信じたい。
だって、もしかしたら……って思う。
楓さんの接し方は幼馴染にするものじゃないってさすがにもう気づいた。そしてきっと楓さんは俺がそういう目で自分を見ているって気づいてる。
その上、楓さんは男の人もイケるらしいし、期待するのは仕方ないじゃないか。
彼女はいるって言ってたけど、色んなことにおいて『幼馴染の俺』を優先してる時点でだんだん怪しくなってきた。本当に彼女さんいるのかなぁ……あ、柚里なら何か知ってるかも……。よし、今日学校に行ったら柚里に聞いてみよう。
「楓の彼女?」
「そう。柚里なら知ってると思って」
待ち合わせ場所に来た柚里にさっそく聞いてみたら、柚里は目をぱちくりさせて「何の事?」と言った。
「楓さんが彼女いるって言ってたから……」
「そんなこと言ってたの?今のそれについては私は何も聞いていないわ。歴代の恋人なら分かるけど」
「そっか……」
「彼女ねぇ……。楓も何を考えてるのかしら」
柚里も知らないとなるとますます怪しい。でも楓さんはいるって言ってたし。いちいち言ってないだけかもしれないけど、うーん……どっちだろう?
「あ、そうだ旭、昨日は大丈夫だった?市倉に何もされてない?」
「え!?うん、大丈夫だよ!何もされてないよ!」
市倉の印象は最悪だったけど俺は何もされてない、よね?楓さんが男もイケるって言われただけで……。
「……本当に?」
「本当に!」
柚里に心配をかけたくないから市倉と会ったことは言わないでおこう。これ以上聞かれたら隠し通せないだろうから、話題を変えないと……。
「あ、今日ね、楓さんとお酒飲むんだ」
「お酒?珍しいわね。楓が誘ったの?」
「うん!楽しみだなぁ。柚里はお酒飲める?」
「飲めるわよ。私こう見えてお酒に強いのよ」
柚里が自信満々に答えるものだから、今日飲んでみて大丈夫そうだったら今度楓さんも入れて三人で飲みに行くことにした。
柚里にどんなお酒が好きか聞いたら、しばらく悩んだ後にウイスキーのロックかしら、と満面の笑みで答えられた。なんていうか、柚里って時々かっこいいこと言うよね……。
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