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67.✧後輩
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✧✧✧✧
「おはよーございま……って、あれ?シズさん、ソファーで何してるんですか〜?」
間延びした声を聞いた瞬間に、なんでこいつがここにいるんだ、と頭の中が混乱する。
静輝はこういうタイプはあまり好きじゃなかったはずで、こいつと関わりがあったなんて……。
「んー、友達が来てるんだ」
「お友達ですか?……で、どこに?」
静輝は起き上がったもののまだ上に乗っていて俺はソファーに寝そべったままだから、そいつからは角度的に俺が見えないらしい。
「どこって、ここ」
「っわ、ちょっと!」
静輝に両腕を掴まれ引っ張られて起き上がるとギュッと抱きしめられた。こいつが見てる前でやめろ、と静輝の胸を叩いたら余計に密着してくる。
「っああー!!ひ、平坂先輩っ!?」
「お、はよう、市倉……」
「おおおおはようございます……!!」
市倉も俺がここにいることに驚いているようだった。俺よりも混乱しているようでそして何故か頬を赤くしている。
何度も飲みに行こうと誘われてずっとそれを断り続けていたから、顔を合わせるのが少し気まずい。
「え、お前ら知り合いなの?」
静輝は何も知らないらしく俺と市倉を交互に見ていた。
「俺と市倉は旭繋がりですよ。市倉は旭の友達。静輝こそ何で市倉を知ってるんですか」
「バーで知り合ったんだよ。出身高校が同じって話で盛り上がって、ちょっと運命感じたよな~」
「バー……?」
まさかと思って聞き返すと、そっちの界隈ではわりと有名なバーの名前が出てきて顔がひきつる。
「あんたバイだったはずじゃ……」
「男とヤったらもう女じゃ満足できねーよ。お前が相手なら尚更な。だからといって男なら誰でも良いってわけじゃないけど。いろんなやつと試したけどやっぱ一番相性がいいのは楓だな。
……あー、もしかして、遼介が言ってた『超美形な先輩』って、こいつのこと?」
前半部分は俺にしか聞こえないように小声で、いけしゃあしゃあと小っ恥ずかしいことを言う静輝を叩くと鼻で笑われた。なんだかいたたまれなくなって後半部分しか聞こえていないであろう市倉に視線を向けると、市倉はさっきよりも顔を赤くしていた。
静輝と俺の距離があまりにも近いから、きっとそういう関係だと気づいたんだろう。
「……市倉、そんなこと言ったの?」
「……え、ええ。つーか、平坂先輩、男もイケるって本当だったんだ……」
「誰でも良いってわけじゃないから。……俺も市倉がそっち側だったってことに驚きを隠せないよ」
「ははは……、女はどうも好きになれなくて。……あっ、そうだ、平坂先輩!!」
「なに……」
こんな朝っぱらから一日分の体力を削ぎ落とされた気分でいると、市倉が俺たちに近づいてきた。なんだなんだと興味ありげな表情で静輝が俺を見ている。
「今日の夜、飲みに行きませんか?」
市倉は人懐こい笑顔でいつもの誘い文句を言うのだった。
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