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73.✩モヤモヤ
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✩✩✩✩
「えっ、うわぁ……」
ウォークインクローゼットの扉を開ける。今朝入った時は暗くて分からなかったけど、改めて明かりをつけてよく見てみると物でごった返していた。なんか、急いで片付けたみたいな感じだ。綺麗好きな楓さんにしては珍しい。
奥までは行けそうにないから入り口の近くを漁る。積み重ねられたいくつものダンボールの上に、袋やなんかよく分からない布みたいな物が置いてあった。
「なんだろう、この布……、ん!?」
何かよく分からない布は下着だった。しかも女の人がつけるやつ。薄いブルーでやたら生地が薄い。
え、なんでここにあるの?……えっ、なんで?
一通り混乱してから、もしかしたら彼女さんの物かもと結論づけ、下着は見なかったことにして下のダンボールに手を付ける。
さっきみたいな物が入っていない事を祈りつつそっと開ける。良かった、機材だ。何の機材かは分からないけどわりと大きい段ボールにぎっちり入っていた。
ガサガサゴソゴソと袋やダンボールを漁る。
時々これは何!?と思う物もあったけど全部見なかったことにした。
「ふう、疲れた……」
出したものを元の位置に戻して一息つく。
ある程度見れる範囲で探してみたけど、残念ながら収穫はなかった。
俺の記憶と全く無関係な(そうだと願いたい)変な物はたくさん見つかったけど……。
楓さんの性的嗜好や性癖がどうであれ俺は楓さんが好きだ、と山積みのダンボールに固く誓ってゲストルームに向かった。
楓さんが前に『ゲストルームは普段使ってないから悲惨なことになってる』と言ってたけど、そこまでひどい状態じゃなかった。
ゲストルームにはベッドとデスクと小さいクローゼット、あと備え付けのユニットバスがあって、本当にお客さんが来た時しか使っていないみたいで、どれもうっすらと埃を被っている。
どちらかと言うと、さっきのウォークインクローゼットの方がひどい。
「うっ……」
物を隠せそうなクローゼットを開けてみると、ここにも女の服があった。や、やっぱり彼女さんの物なのかな……。
何日間か泊まれるようになのか一式揃ってるしアクセサリーとかバッグまである。彼氏の家にここまで揃えて置いていくのって普通なんだろうか……。
彼女さんと仲良くデートしてる楓さんの姿を自分で想像しといて心がモヤモヤする。世間的に見ればごく普通のことなのに。
本当に嫉妬とか。どうしようもないなぁ……。
見たこともない彼女さんに嫉妬してる惨めな自分が心底嫌になる。
もしかしたら楓さん、今頃彼女さんの所にいるのかな……。モヤモヤがどんどん広がっていって黒い醜い感情に心が染まってしまいそうだ。
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