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82.✩四日間
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✩✩✩✩
家に一人ぼっちになって四日が経った。
毎日、朝起きて今日は楓さん帰ってくるかな、と期待して大学に行って、夕方に帰ってきて楓さんがいない事に落ち込んで一人で過ごす。
夜も限界まで楓さんが帰ってくるのを待っていて、気付けば寝落ちしていたなんてことが続いた。
はじめのうちはそれこそ一日に何度も何度もメールや電話をしてみたりもしたけど、返事がないことが怖くなって昨日寝る前に一度だけメールをしてからは連絡をやめていた。
身体的にも疲労していて、それ以上に精神的に疲れきっていた。楓さんがいないことがこんなにも悲しくて寂しくて辛いものだとは思わなかった。
けれど、いつ楓さんが帰ってきても良いようにできるだけ家事をこなして、楓さんがいる時と同じように家を保とうとした。
そして今朝、学校に行こうとして玄関に立ったらぐらりと目眩がしてその場にしゃがみ込んだんだ。
たった四日間。
それしか経ってないのに、俺は楓さんがいないだけで身も心もボロボロになっていた。心が乾いてひび割れているようだった。
楓さんに会いたい……。
堰を切ったように涙が溢れてきて抱え込んだ自分の膝を濡らす。
楓さんの名前を呼びながらさんざん泣いたけど、名前を呼ぶ度に乾いた心の痛みは強くなる一方で、もう自分でもどうしたらいいのか分からなかった。
涙が枯れて流れなくなってもしばらく嗚咽を漏らして泣き続けた。
玄関に来てどれくらい経ったのか分からない。
カタンと音がしたのにも気付かず顔を伏せていた俺は、射し込む光でやっとドアが開いていることに気づいた。
「っふ……ヒック…………、あ……?え、えっ?かえでさん!?」
照明がついて顔を上げるとそこには大好きな人の姿があった。
楓さんの顔を見た途端、また涙がじわりと溢れてきた。
「旭……何してるのこんなとこで」
楓さんは驚いたような声で言った。だけどその声には優しさの色もあって俺の涙は止まらなくなる。
「かえでさんだ……うう……楓さん!!」
ガバッと抱きついて楓さんの感触を確かめる。俺の大好きな楓さんだ。
楓さんが戻って来てくれた……!本当に帰って来てくれたんだ!!
わんわん泣きじゃくって一向に離れない俺を楓さんは優しく抱きしめ返してくれた。
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