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83.✧伝える
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✧✧✧✧
リビングのソファーに座り旭の背中をあやすように撫でながら部屋を見渡す。
四日間しか空けなかったとはいえ、普段俺の手伝い以外はほとんど家事をしない旭を一人で家に残してきた事が気がかりだった。
だけど家の状態は俺が出て行った時と変わっていなくて、掃除も行き届いているようだし洗濯物も食器もたまっていない。食事はコンビニなどで買ってきた物で済ませていたのかもしれないけど、少なくとも俺がいたときの状態を保ってくれていたようだった。
「なぁ、旭。掃除も洗濯も全部一人でできたの?ご飯は?自分で作った?」
さっきからぎゅっと抱きついたまま「楓さん」としか呟かない旭にそう問いかけると、抱きつく力が強くなった。
「掃除、とかはできたけど、ご飯はコンビニ……」
「そっか。綺麗にしてくれててありがとな」
「うん……」
『ごめん』の意味も込めてよしよしと旭の頭を撫でると擦り寄ってきた。
心細かっただろうな……。
…………けど、もうそんな思いはさせない。
旭が落ち着くのを待って一度深呼吸して話を切り出す。
「旭、話したいことがあるんだけど」
ビクッと肩を揺らした旭は不安そうに俺の表情を窺ってきた。あーもう、そんな顔すんなって。でも……旭が不安そうにする原因は俺にあるんだよな。自分がまいた種から出た芽は自分で摘み取らないと。
その前に一つ確認しておかなければならない事が。
「旭、俺の事好き?」
「……なっ!?」
さっきまで不安そうな表情をしていた旭の顔がボッと赤くなる。言葉が出ないのか口をぱくぱくさせていた。
旭は耳まで真っ赤にしてどんっと俺の胸板を叩き俯いた。少しの間返事を待っていると旭はとても小さな声で「すき」と言ってくれた。
「その好きは、どういう好き?友情?愛情?」
「な、んで、急に、そんなこと……」
「どっち?」
「…………あ、愛情……」
大きくため息をついてこれまた小さな声でちゃんと言ってくれた。旭を抱き寄せて耳の後ろに鼻をうずめる。旭の匂いがして心がじんわり暖かくなっていく。
「ふふ、よかった、自惚れてなくて。旭の好きが俺と同じ好きでよかった」
「…………え……?」
「ねえ旭、俺は今の旭が好きだよ」
旭の目を見てはっきりと言ってから、俺は旭の唇に口づけた。
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