アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
93.✩大人の色気
-
✩✩✩✩
朝起きたら腰が重くて痛かった俺は未だ起き上がれずに横になっている。
楓さんはというとヘッドボードに寄りかかり手を伸ばしてひたすら俺の頭を撫でている。
楓さんに前の俺がどんな人だったかを聞いたら、暗に昨日の自分の痴態も言われた。
だって、やっと心が通ったんだ。楓さんをほしがるのもしょうがないじゃん。
………それに、これもどうかと思うけど、心以上に体が楓さんを求めてた。心の中で自分が驚くくらいに体が楓さんを求めてた。
初めに体を溶かされて、徐々に心にも火がついた。
体から快楽に浸されていった、そんな感じ。
俺が初めてだったから楓さんが手加減してくれたのか、楓さんから与えられる快感に溶かされてはいたけど、全部覚えてる。
最初から最後に意識が途絶えるまで、全部。
あんなすごいことを、前の俺は楓さんとしていたんだ。どうして今まで思い出せなかったんだろう。
目を閉じれば脳裏に昨日の事も、その前の事も浮かび上がる。今の俺のものではない、前の俺の思い出。
あのふわふわした感覚の中、真っ白い世界がじわりじわりと溶けだした記憶で色づいていったとき、前の俺が今まで経験したセックスについての記憶が思い出された。
幸か不幸か、その相手は全部楓さんだった。
昨日の相手が楓さんだったから『楓さんとのセックス』だけが記憶として蘇ったのかもしれないし、ただ単に今までの俺が楓さんにしか体を許していなかったのかもしれない。
個人的には絶対に後者の方がいい。
思い出された記憶の中でも楓さんの色気は凄かった。昨日の楓さんの色気もやばかったけど……。
そして、あの大人の色気を仕舞いこんだ楓さんは、今は穏やかな顔をして俺の頭を撫でてくれている。
こういうのを、ギャップっていうんだろうなぁ。
……やばい、キュンときた………。
「ねぇ、楓さん」
「ん、どうしたの?」
「………キスしたい」
「いいよ。ほら、おいで」
楓さんは微笑むだけで動こうとしない。
おいで、って………。腰が痛くて起き上がれないこと知ってるくせに………。
「やっぱ、いい………」
「あれ、しないの?」
「だって、腰が痛くて動けな……んっ………」
最後まで言い終わらないうちにキスで口を塞がれた。
触れるだけですぐ離れていった唇を目で追うと、今度は額にキスを落とされた。
おさまっていた熱が燻り出して楓さんを見上げる。
「ふふ、俺がキスしたくなっちゃった」
それはそれは優しい綺麗な笑顔で、楓さんは笑っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 322